こんにちは。デザイナーのCです。
私たちのような印刷・広告業では、さまざまな業界のお客さまと接する機会があります。
デザインについてお客さまにヒアリングをしていると、会話の中に謎の単語が出てきて「それって何ですか?」と聞きまくることもしばしば…。
(そして案件が終わる頃にはちょっと詳しくなっていたりします。)
思い返せば、私も入社したての頃、社内を飛び交う聞き慣れない業界用語に戸惑ったものでした。
そこで今回は、複数回に分けて、面白くて・知っていたらどこかで役に立つかもしれない?業界用語をまとめてみることにしました。
(と思ったらイノウエさんがすでに知的な素敵記事を書いていたので、私は被りを避けつつ書いてみようと思います。こちらも読んでみてくださいね▼)
ヒラメキ編集メンバーにも協力してもらって選出した、とっておきの?不思議な業界用語、お楽しみいただければ幸いです。
初回の今回は、印刷に関する用語をご紹介する「印刷用語編」です!
【目次】
①「アミ」と「ベタ」
②「ヤレ」
③「員数」
④「共紙」
⑤「天地」
⑥「グル」
⑦「ホチ」「ステッチ」
印刷業界用語①「アミ」と「ベタ」
印刷業界の頻出ワードとして、トンボ、ドブ(塗り足し)があります。
詳しくはこちら▼
この流れで「アミ」と来たら田舎の夏休みが思い浮かびますが、違います。
意味は「網」なのですが…。
オフセット印刷では、刷る色ごとに絵柄を網点(あみてん)と呼ばれるドットに変換し、はんこに似た刷版に出力、重ね刷りして一つの絵柄を表現します。
色が薄いほどドットの密度が低く、濃度が100%になるとドット状ではなく色面になります。
ドットが存在している濃度0%〜99%の状態が「アミ」。
100%か、それ以上の掛け合わせになると「ベタ」と呼ばれます。
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印刷業界用語②「ヤレ」
敵の冷酷な司令官が部下に攻撃を命じる時のセリフ。
…ではなくて、印刷物を作る過程で出る「いらない紙」のことを指します。
製品にならないということで、印刷機の調整時に使う試し刷りの紙や、断裁の時に切り落とした部分、印刷や加工に失敗した紙のことを言います。「ヤレ紙」とも言います。
印刷や製本の難易度が高く、無駄になる紙が多く出てしまう時は「ヤレ率が高い」と言ったりもします。ヤレは廃棄ではなく、回収してリサイクルに回されることがほとんどです。
さらに当社では、こんな取り組みもしています▼
製造の過程で出るはしっこの紙を詰め合わせた、お得な紙のセットです。
紙モノが好きな方はぜひチェックしてみてくださいね。
印刷業界用語③「員数」
「いんずう」と読みます。
字は人員の「員」を使っていますが、印刷物の枚数のことです。
同時に、紙の枚数を数えることも意味していて、「員数して」のようにも使います。
小さい印刷物の場合は、手首のスナップを利かせて扇状に広げ、もう片方の手を使って5枚ずつ数えていく技があります。
銀行員など、さまざまな業界で紙を数える達人はいると思いますが、印刷業界では5枚ずつ数えるのが通例です。
新人研修のとき、毎日A4のコピー用紙を数える課題が出たのですが、何回やっても同期4人の枚数が合わなかったのは良い思い出です…。
印刷業界用語④「共紙」
「ともがみ」と読みます。これも意味が分かりそうで分からない用語ですよね…。
冊子を作る時、表紙の紙と本文の紙を、厚さも銘柄も色も全く同じ紙にすることをいいます。
ページ数の少ない中綴じのパンフレットだと、ほとんど共紙が選ばれているような気がしますが、特別感を出したい場合に、表紙の紙だけ厚くしたり、別の紙を用いたりすることがあります。
例えば、ソロフレッシュコーヒーシステム株式会社さまのこの作品では、表紙にグレーのクラフト紙、本文に白の嵩高中質紙を使用しているため、「共紙ではない」ということになりますね。
印刷業界用語⑤「天地」
意味は宅配便の「天地無用」の「天地」と同じで、印刷物の上側を天、下側を地と呼びます。
印刷では天地の指示が非常に大切で、文字が読める方向が正しい向きとは限らなかったり、判別できるような絵柄がなかったりして、向きが分からないものがあります。
そのため、校了紙に「天」と「地」を書き込んで、現場に向きを連絡する必要があるんです。
「天」「地」と達筆で書かれた校了紙は、何だか勇ましく見えます。笑
「天地左右」と言うこともあるのですが、なぜ上下でなく天地と呼ぶのかは謎です。
印刷業界用語⑥「グル」
あいつとあいつはグルだよ!のグルではなく、ぐるっと回っちゃってるの「グル」が由来と思われます。
上記の天地左右の指示がうまくいかないなどして、表裏のどちらか一方が間違った向きで刷られた状態のことを指します。
刷り上がった印刷物を見て「グル」を発見したときの絶望感と言ったら…。
印刷業界用語⑦「ホチ」「ステッチ」
中綴じ製本で使う、いわゆるホチキスの芯のことです。
省略して「ホチ」と言われるのはまだ分かるのですが、糸じゃないのに「ステッチ」とも呼ばれます。
糸かがり製本もあるので、よく考えたらちょっとややこしいですよね。
中綴じ製本については、こちらの記事で詳しく解説しているので、よろしければご覧ください。
いかがでしょうか?
まだまだお伝えしたいワードはあるのですが、印刷用語編はここで一旦締めようと思います!
印刷の業界用語は、歴史の長さゆえか、職人の背中を感じるような?さっぱりとした言い回しが目立ちます。
少しでも面白い!と思っていただけたなら嬉しいです。
さて、次回は「デザイン・編集用語編」をお届けします!
これまた「何じゃそりゃ」というワードをご紹介するので、お楽しみに!