「無処理版」を新たに導入!その仕組みやメリットについて紹介します

クリエイティブ / 印刷・加工

こんにちは!印刷課のオグラです。

今年の4月から、当社の製造現場である福浦工場では、CTP(“コンピューターtoプレート”の略)を「無処理版」に切り換えました。

「無処理版とは?」「できあがる印刷物の品質に影響があるの?」

などなど、「無処理版の仕組みやメリット」に関してお話したいと思います。

【無処理版解説の前に】印刷の工程をざっくりおさらい

まずはじめに、印刷物を作るまでのざっくりとした工程のおさらいから始めようと思います。

当社では、横浜の新川町にある営業本部にて、印刷用データの制作から面付け作業までを行っています。面付け担当者が、福浦工場の印刷課フロア内にあるCTPに、リモートで刷版出力をします。

※「面付け」についてはこちらの記事を、

【面付けとは】印刷物を作る上で大切な工程。その仕事内容を詳しく解説!

「刷版」についてはこちらの記事で少し紹介しています。

【RIP処理とは】印刷データ入稿時の注意点とあわせて解説!

印刷課の機械担当者が、出力された刷版と、指示書(印刷物を作るための設計書のようなもの)を引き取り、印刷機に刷版を取り付け、印刷作業を開始します。

無処理版とは?その仕組みは?

さて、肝心の「無処理版」について説明していきます。

無処理版と有処理版の違いは、「現像処理作業を自動現像機にて行うか・印刷機にて行うか」の違いになります。

もう少し詳しく説明すると、有処理版、刷版の作成ではDTP原稿データをもとに、刷版にレーザーを当て、画像を焼き付けた後に自動現像機で非画線部(インキがのらない部分)を薬品で落とします。

一方、無処理版では、画像データの焼き付けまでで自動現像機を使用しません。現像作業は、印刷機上で印刷開始時に行うことで、工程の省略化ができるようになりました。

この工程の省略により、得られる恩恵があるのです。

無処理版のメリット

では、恩恵がいっぱいある無処理版のメリットについて、説明したいと思います。

無処理版メリット① 作業環境の改善

有処理版では、自動現像機の「メンテナンス」「薬品の補充」「現像液の温度管理」「液交換、清掃」などの作業が必要でしたが、無処理版になったことで「ノーメンテナンス」になり、担当者の作業負荷が大幅に改善されました。

印刷自体における影響としては、今までの有処理版では薬品による影響で網点の変動があり、安定した再現のため、定期管理による調整が必要でした。
ところが、無処理版では薬品を使用しないため、変動のない安定した網点をプレート上で再現できるようになりました。

 

無処理版メリット② 環境対応

現像機がなくなり、水や電気の使用、さらに薬品の使用がなくなったことで、廃液の出ない環境にやさしいシステムになりました。

また、富士フイルムが取り組むカーボン・オフセット制度の利用により、カーボンゼロプレートとしてCO₂削減による環境取り組みができ、1版あたり「7kgのCO₂を削減」したことになります。

「1kgの削減」がどのくらいの効果があるのか調べてみたところ、“ガソリン自動車で3.6km走行した時に発生するCO₂が1kg”になるので、「7kg×3.6km=25.2km」。1版で、25.2km走行したガソリン自動車が出す、CO₂の削減ができます。

また、従来通り「Plate to Plate」の運用(刷版を1度使用したアルミ材を回収し、再生品として再度使用するリサイクルへの取り組み)はもちろん、自動現像機を使用しないことで環境印刷のランクアップが見込めるなど、さまざまな環境保護効果が見込めます。

無処理版導入による、福浦工場の変化

最後に、無処理版を導入したことで「どう野毛印刷の福浦工場に変化があったのか」という視点で解説しようと思います。

無処理版導入による変化① 効率化

今回無処理版にしたことで、工場の一階にあったCTPを移動し、印刷フロアにCTPルームを作りました。動線的にもかなり近いところで作業でき、効率が大幅に良くなりました。

 

無処理版導入による変化② 品質

自分たちでCTPを管理することで、紙伸びによる見当が合わない時、データ状にて加減焼きという見当調整方法を覚え、活用できるようになりました。
また、刷版キズも付きづらいので、問題になりにくく、不良品の発生防止になっています。

 

無処理版導入による変化③ 提供できる付加価値

自動現像機がなくなり、水を使用しないようになったため、廃液が出なくなったことが大きなポイントです。PS廃液が年間885リットル、ガム液1000リットルが、無処理版になったことで出ない計算になります。

これまでも当社では「グリーンプリンティング」「FSC森林認証紙」での製品のご提供をしてまいりましたが、無処理版の導入で、より環境に配慮した製品をご提供できるようになりました。

 


以上、簡単ではありますが、「無処理版の仕組みやメリット」の紹介でした。

今回は、無処理版を導入した工場の取り組みをお伝えしましたが、無処理版に関わることだけでなく、福浦工場はこれからも一丸となって、製品の品質向上に努めてまいります。
皆さまに満足していただけるような印刷物を作っていくので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

印刷物のご相談・御見積りは、こちらのお問合せフォームよりご連絡ください。

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