
紙をはじめ、布や皮革、金属、プラスチックなど、さまざまな素材に施すことができる「エンボス加工」。素材の表面を浮き上がらせることで、見た目と手触りの両方で変化を表現する加工方法です。
代表的なものだと、金属ではナンバープレート、プラスチックではクレジットカードなどがあり、視覚障がい者向けの点字もエンボス加工の一例です。
今回は、印刷物のエンボス加工についてご紹介します。
エンボスとは
「エンボス(Emboss)」について、まずは言葉の意味から見てみましょう。
「Boss」は「親分・社長」といった意味の他に、装飾などにおける「突起部分」といった意味があります。
接頭辞の「en」は「~の状態にする」という意味で、「boss」の前では「em」となり、「浮き出しにする」という動詞として使われるようになったと言われます。
そこから、「エンボス加工」=「素材の表面を浮き上がらせる加工」として使われるようになりました。
印刷物のエンボスについて
印刷物におけるエンボス加工は、平らな紙を立体的に浮き上がらせることで高級感や特別感を演出する技法です。
一般的な加工の仕方は、凸版と凹版の間に紙をはさみ、プレスして表面を浮き上がらせるという方法です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、世の中には、名刺や封筒などに刻印を押す「エンボッサー」という手動のプレス機があり、軽く押すだけで誰でも気軽にエンボス加工が楽しむことができます。
印刷会社では、主に次の2つの方法でエンボス加工を施します。
①自動平盤打抜機によるエンボス加工
印刷会社におけるエンボス加工も基本的にはエンボッサーと同様で、紙を凸版と凹版の間に挟み、プレスして浮き上がらせます。
「自動平盤打抜機」を用いて、大量に加工することが可能です。
▼自動平盤打抜機についてはこちら
②ホットスタンプによるエンボス加工
「箔押し」として知られる「ホットスタンプ」でも、エンボス加工を施すことができます。
ホットスタンプ(箔押し)は、加熱した凸版で紙をプレスし、金箔や銀箔などの色のついた箔を紙に転写させる加工方法です。
このプレスの際に、箔を用いずに「空押し」することによって、形だけが浮き上がるエンボス加工にすることができます。
▼箔押し加工についてはこちら
エンボス加工を施した用紙
印刷用紙には、すでにエンボス加工が施された特殊紙もあります。
代表例は「レザック」シリーズなどです。模様入りのエンボス加工紙は、印刷後の加工の手間が省けるため非常に便利です。
▼「レザック」シリーズ
▼「きぬもみ」という用紙を使用した例
しかし、こうした特殊紙は、用紙の凸凹具合によって印刷のインキやトナーが吸着せず、仕上がりに影響が出る場合があります。
本番印刷前に色校正を行い、事前に仕上がりを確認することをおすすめします。
▼制作事例
「販促・集客の観点」でのエンボス活用ポイント
エンボス加工は単に見た目に変化を与えるだけでなく、販促ツールや集客ツールの「価値訴求」に直結します。
①「高級感の演出」…パンフレットなどの印刷物にエンボス加工を施すことで、高級感がアップし企業イメージやブランド力を高めることにつながります。
②「視覚・触覚への訴求」…触れることで印象に残りやすく、イベントや展示会での配布物にも最適です。
③「差別化」…通常の印刷物との差別化になり、競合他社と差をつけることができます。
▼制作事例
印刷物にひとつ加工をプラスすることで、紙のもつ印象や魅力は大きく変わります。
「普通の印刷物に飽きてきた」「販促物でより印象に残る仕上がりを目指したい」といった方は、ぜひエンボス加工もご検討ください。
当社では印刷だけでなく、多様な加工技術を駆使して販促ツールや集客ツールに付加価値を加えています。御見積りやご相談は、お気軽にご連絡ください。
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