こんにちは。デザイナーのCです。
私たちのような印刷・広告業界では、さまざまな業界のお客さまと接する機会があります。
デザインについてお客さまにヒアリングをしていると、謎の単語が出てきて、「それって何ですか?」と質問攻めになることもしばしば……(案件が終わる頃にはその業界に少し詳しくなっていたりします)。思い返せば、私も入社したての頃は、社内を飛び交う聞き慣れない業界用語に戸惑ったものでした。
そこで今回は、知っているとどこかで役に立つかもしれない業界用語を、数回に分けてご紹介します。
(既にあるこちらの記事もご覧ください▼)
ヒラメキ工房編集メンバーにも協力してもらい、厳選したとっておきの?不思議な業界用語をお楽しみいただければ幸いです。
今回は「印刷用語編」です!
印刷業界用語①「アミ」と「ベタ」
印刷業界の頻出ワードに、「トンボ」や「ドブ(塗り足し)」があります。
詳しくはこちら▼
この流れで「アミ」と聞くと、田舎の夏休みを連想するかもしれませんが、違います……。
オフセット印刷では、刷る色ごとに絵柄を網点(あみてん)と呼ばれるドットに変換し、版に出力して、重ね刷りをして一つの絵柄を表現します。
色が薄いほどドットの密度が低く、濃度が100%になるとドットがなくなり、「ベタ」になります。
この濃度が100%未満のドットの状態を「アミ」と言います。
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印刷業界用語②「ヤレ」
敵の冷酷な司令官が部下に命じる「ヤレ!」
……ではなく、印刷物を作る過程で出る「いらない紙」のことを指します。
印刷物を作る過程で出る製品にならない紙、例えば印刷機の調整に使う試し刷りの紙や、断裁の時に切り落とした部分、印刷ミスの紙などを「ヤレ紙」と言います。
また、印刷や製本の難易度が高く、無駄になる紙が多く出てしまう時は「ヤレ率が高い」と言います。ヤレ紙は廃棄ではなく、回収してリサイクルされることがほとんどです。
さらに当社では、製造の過程で出る余った紙を詰め合わせた、お得な紙のセット「はしっこペーパー」を販売しています。
紙モノが好きな方はぜひチェックしてみてください▼
印刷業界用語③「員数」
「いんずう」と読みます。
漢字は人員の「員」を使いますが、印刷物の枚数のことです。
また、紙の枚数を数えることも指し、「員数して」といった使い方もされます。
小さな印刷物は、手首のスナップを利かせて扇状に広げ、もう片方の手で5枚ずつ数える技があります。銀行員なども紙を数えるプロですが、印刷業界では5枚ずつ数えるのが一般的です。
新人研修で毎日A4のコピー用紙を数える課題がありましたが、同期4人の枚数がなかなか合わなかったのは良い思い出です。
印刷業界用語④「共紙」
「ともがみ」と読みます。これも意味が分かりそうで分かりにくい用語ですよね。
冊子の表紙と本文の紙が全く同じものを「共紙」と言います。
ページ数が少ない中綴じのパンフレットでは共紙の場合が多いですが、特別感を出したい場合は、表紙のみ厚い紙にしたり、別の紙を用いたりします。
印刷業界用語⑤「天地」
「天地無用」の天地と同じで、印刷物の上側を天、下側を地と呼びます。
印刷では天地の指示が非常に大切です。文字が読める方向が必ずしも正しい向きとは限らなかったり、向きが判別できるような絵柄がなかったりすることがあります。
そこで、校了紙に「天」と「地」を記入し、製造現場に向きを伝える必要があります。
「天」「地」と、達筆で書かれた校了紙は何だか勇ましい雰囲気を醸し出します。笑
印刷業界用語⑥「グル」
「あいつとあいつはグルだよ!」……の「グル」ではなく、ぐるっと天地が回ってしまった印刷物のことを言います。
天地左右の指示が伝わらなかったなどの理由で、表裏のどちらかが間違った向きで刷られた状態などを指します。刷り上がった印刷物で「グル」を発見したときの絶望感は……想像にお任せします。
印刷業界用語⑦「ホチ」「ステッチ」
中綴じ製本で使用する、いわゆるホチキスの芯のことです。
省略して「ホチ」と呼ばれるほか、糸ではないのに「ステッチ」とも呼ばれます。
糸かがり製本など、糸を使った製本方法もあるため、よく考えるとややこしいですよね。
中綴じ製本については、こちらの記事で詳しく解説しています▼
まだまだ紹介したいワードはありますが、印刷用語編はここで締めたいと思います!
印刷業界の用語には、歴史の長さゆえか、職人の背中を感じるような素朴な言い回しが目立ちます。少しでも「面白い!」と思っていただけたら嬉しいです。
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