「世界津波の日」とは。11月5日に思う津波のこと

コラム

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11月5日は「世界津波の日」

2015(平成27)年の国連総会本会議において、「世界津波の日」を定める決議案が採択されました。

その内容には、11月5日を「世界津波の日(World Tsunami Awareness Day)」に制定することが掲げられています。
また、

・早期警報、伝統的知識の活用、「より良い復興」を通じた災害への備えと迅速な情報共有の重要性を認識すること
・すべての加盟国・組織・個人に対して、津波に関する意識を向上するために、適切な方法で「世界津波の日」を遵守することを要請すること

といった内容なども含まれています。

日本では、2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災による甚大な津波被害を受け、3か月後に制定された「津波対策の推進に関する法律」に基づき、広く津波対策についての理解と関心を深めることを目的として、11月5日を「津波防災の日」と定め、取り組みが進められていました。

11月5日と津波との関りは、ペリーが浦賀沖に再来航した年である1854(嘉永7/安政元)年11月5日に発生した「安政南海地震」による大津波の際の出来事に由来しています。
紀伊国広村(現在の和歌山県有田郡広川町)の村民が、収穫した稲むら(脱穀後の稲藁を積み重ねたもの)に火をつけ、早期に警報を発し避難路を示すことで、村民の命を救いました。
後にこのエピソードは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)によって物語化され、「稲むらの火」として小学校の教科書にも掲載されました。

「Tsunami」は世界共通語

20世紀後半以降、「Tsunami」は世界で広く一般的に使われる共通語になりましたが、そもそも「津波」は、船着き場や港などを示す「津」の「波」、つまり港で大きな被害をもたらす波が語源です。

「津波(浪)」という言葉がはじめて表記されたのは、将軍職を引退した徳川家康にまつわる出来事をまとめた『駿府記』で、1611(慶長16)年に東北で発生した「慶長三陸地震」について、「政宗領所海涯人屋 波濤大漲来 悉流失す溺死者五千人 世曰津浪云々」と記されています。
伊達政宗の領地で起きた大波による死者五千人に及ぶ災害について、これは世に曰く「津浪」であると表現しています。

津波といえば、2000(平成12)年に発売され、シングルCDの売上が300万枚近くに達した平成の大ヒット曲、サザンオールスターズの『TSUNAMI』(作詞・作曲:桑田佳祐)について触れておきたいと思います。
東日本大震災による津波被害を受け、日本社会全体がこの曲を自粛する雰囲気となり、ラジオやテレビなどではほとんど流れなくなりました。失恋のせつなさを歌ったバラードですが、タイトルが津波を連想させることからの配慮でした。

しかし、「『TSUNAMI』を流してほしい」というリスナーの思いが、さざ波のように各放送局に届き、少しずつ曲が流されるようになりました。
まだ抵抗を感じる人もいれば、震災の風化を防ぐシンボルになってほしいと願う人もいます。さまざまな思いのなかで、名曲『TSUNAMI』は揺れ動いています。

 


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