現場で印刷機を回しているといろんなことに気がつきます。
たとえば、汚れ、ピンホール、コスレなど小さな物だと顔を紙面に30㎝ぐらい近くに寄らないと見えなかったりするので一生懸命探したり、「色が合わない」、「色が安定しない」、「機械の調子が悪い」など、1日1回も問題なく印刷が終る日ってあるのかと思うくらい、いろんなことがあり苦労しています。
駅のポスターなど見ると綺麗に刷られていたりするので、ついつい自分が刷ったものと比較してしまいますが、実際よその印刷会社の話しって良いことしか聞かないし、よその印刷会社ってどうしているんだろうといつも考えてしまいます。
そんなことを思いながら、今回は「色ブレ」について説明したいと思います。
「色ブレ」ってなに?
印刷機でカラーを再現するのは、B墨.C藍.M紅.Y黄の4色でカラー(写真など)を再現しています。
特に茶色・黒・グレーなどがブレやすく変化しやすいので、墨も単純に4色各100%で印刷しても、その時のインキの硬さや室温次第で青っぽい墨になったり、赤っぽい墨になったりするので4色のバランスが難しく変化してしまいます。
また、印刷では写真などの再現に網点を使用していますが、網点の大きさがいろんな要因で大きくなってしまうことを「ドットゲイン」といい印刷物の色が濃く見える現象が起こります。基準の4色のバランスが変わってしまうこと、ドットゲイン変化により濃く見えるようになってしまうことを「色ブレ」といいます。
なぜ起こる?要因は3つ
環境の変化室温、湿度の影響
・印刷に良いとされている温度・湿度は、いつも一定が望ましく温度が上がることでインキが軟らかくなりドットゲインの変化が起こります。
・トラッピング、インキの重なり具合(インキの上に別のインキが乗る量)で変化して色が、変わってしまいます。
機械の設定
・印刷では水を(湿し水)使用し、刷版を湿らせ画像部以外がインキにより汚れないようにしていますが、水(湿し水)が多いことにより絵柄のない部分が薄くなってきたりします。
・インキを運ぶローラーは、インキを紙面まで運ぶ役割を持っていますが、ローラーとローラーの当たり具合が決められた圧で、均等でないとインキがうまく運べなくなり薄くなったりします。
人による操作
・人が目で見て判断します。見る場所や明るさ・光源により色の見え方が変わるため、周囲の環境に注意して確認をします。
また、絵柄周囲の色の違いにより視覚での色の評価が難しくなったり判断を誤ったりします。印刷技術者個々の色認知の相違により、主観的な評価しかできなく、色ブレの要因になります。
どうやって色ブレを防ぐ?
恐らく、弊社だけでなく、それぞれの印刷会社が悩んでいるであろう色ブレ。機会を動かすのは人なので、調整もアナログ的なことが多く、印刷をする以上、避けられないものですが、それでもお客様の要望にあったものを印刷できるよう、最大限色ブレが起こらないように、努力は惜しみません。
撤退した室温・湿度管理
インキだけでなく、紙も湿度や温度によって、波打ってしまったりというようなトラブルが起きてしまうため、室温と湿度は徹底的に管理します。
適切な機械の設定や判断ができる人材の育成
印刷機の設定や、お客様の要望にかなう品質を見極めるには、やはり印刷機を動かす”人”が重要となります。熟練の職人が作業することによって、上手く印刷機を動かせるということもありますが、「どこの印刷会社に熟練の職人がいるか」というのは、中々わかりませんよね。
そこで第三者でも印刷技術を持った人がいるかどうかが分かりやすいのは「印刷技能士」がいるかどうかを調べることです。
印刷技能士とは、国家資格である技能資格の一つです。実技試験により、確かな技術があるかどうかを判定するのはもちろんのこと、筆記試験により、正しい印刷知識が身についているかという部分も試験によって確かめます。
印刷技能士については過去のこちらの記事に詳しく掲載しています。
弊社にも印刷技能士の資格を持った者がおります。お問合せはこちらよりご連絡ください。