
ものさしと定規の違い
皆さんは、「ものさし」と「定規」の違いをご存じでしょうか?
同じだと思っている方も多いと思いますが、実は明確な違いがあります。
どのような違いかというと…
「ものさし」は、物の長さや測る道具のこと。
「定規」は、筆記用具やカッターをあてがい、直線や曲線を引いたりカットしたりする道具のこと。
という違いがあります。
また、「ものさし」と「定規」には、見分け方も存在します。
それは、目盛りの0の位置がどこにあるか。
ものの長さを測るための「ものさし」は先端が0、「定規」は先端ではなく少し内側に0の位置があるのがポイントです。
同じ形をしていても、それぞれ道具としての役目が違うことがわかりますね。
ものさしの歴史
そんな「ものさし」と「定規」ですが、起源は「ものさし」が圧倒的に古くなります。
目盛りの単位がない時代、たとえば古代メソポタミア文明では、稲穂の長さや牛の角の長さなどを基準として測っていたようです。
日本には中国の殷の時代に定められた「尺」という長さの単位が伝来しました。
「尺」の文字は、親指と人差し指を広げた形をかたどったもので、女性が手を広げたときの親指の先と中指の先までの長さ、17.3cmを基準として1尺と定められました。
その後日本では世の中の混乱によって統制が乱れ、1尺という単位は変わらずに長さが伸び続け、江戸時代の中期から後期にかけて1尺30.3cmに落ち着いた、といわれています。
定規の歴史
一方の「定規」は、古代ギリシャ時代に幾何学の作図に三角定規やコンパスが使われていたといわれ、測量技術が伝わった7世紀初頭には、日本でも定規のようなものが使われていたのではないか、と考えられています。
「定規」が一般的に使われるようになったのは、紙が普及し始めた近代。
江戸時代の浮世絵師や家紋などを描く上絵師たちは、筆とガラス棒を箸のように持ち、定規に彫られた溝にガラス棒を入れてそのまま直線を引く「溝引き定規」が使われていました。
DTP以前、当社にもこの「溝引き定規」を器用に使いこなすデザイナーがいたことを思い出します。
定規の歴史 ~定規は印刷会社の必需品だった!~
「定規」の歴史の中でDTP・印刷業界の話に触れたので、そのまま印刷会社での「定規」の役目を振り返ってみようと思います。
印刷会社の制作現場では、DTPが普及する以前、線を引くための「定規」が必需品でした。
一般的には直定規のほかに、直角二等辺三角形と半正三角形の2枚組の三角定規、長い直定規と短いすり定規を直角になるように取り付けたT字型のT定規など、主に平行線や垂線を作図するためや、版下作業に欠かすことができないものでした。
雲形定規や円定規、楕円定規、任意の曲線を描ける自在曲線定規もよく使われていました。
先ほど少し触れたように、DTPが発展する以前は本当に「定規」無しでは仕事ができない時代でした。
もちろん今でも「定規」は使用しますが、紙をまっすぐにカッターナイフで切るために使うくらいで、それ以外の使用は少なくなりました。
ちなみに、印刷会社の現在の制作現場の様子はこちらの記事で紹介しています。
▼DTPオペレーターってどんな仕事?実際の作業内容を紹介!
以上が、「ものさし」と「定規」の違いと、その歴史でした!
ふだん日常生活で使っているものも、調べてみると新しい発見や面白い歴史があるものですね。
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