「壁に耳あり、障子に目あり」ということわざがありますが、「本に耳あり、紙に目あり」は印刷関係者だけがわかる表現かもしれません。
もちろんそんなことわざはありませんが、間違った表現というわけでもありません。
今回は、印刷物に存在する、耳や目のお話です。
本の「耳」とは?
上製本の本で、表紙と中身との接合を強くするために、本の背の部分を両側から圧搾することによってできる隆起を「耳」と言います。本の開きが良くなり、小口が飛び出すことを防ぎます。
紙の「目」とは?
紙には「目」があります。
突然ですが、紙を手でビリッと破いてみてください。すんなりときれいに破れる方向と、曲がってしまって破りにくい方向があることに気付くと思います。
それは、矢印の方向に「目」があるからです。
紙は製造される際、原料である木材をほぐしたパルプが送りだされる方向によって繊維に流れができます。つまり、印刷に使う用紙にはすべて「タテ目」と「ヨコ目」という紙の繊維の「目流れ」があり、全紙で見たときに長辺に平行なものを「タテ目(T目)」、長辺に垂直なものを「ヨコ目(Y目)」と言います。
紙はひとつのライン上で製造され、一度ロール状に巻き取られます。巻き取られた状態では常に紙の目の方向は一定ですが、シート状に紙を切る際、タテかヨコかどちらの向きでカットするかによって「タテ目」と「ヨコ目」の違いが生じます。
ちなみに、紙のサイズは「横寸法×縦寸法」で表示するので、目が記されていなくても「小さい数字×大きい数字」の順でサイズ表記されてれば「タテ目」、逆の場合は「ヨコ目」ということになります。
紙の目は重要な役割を持つ!
紙の目は用途によって大きな影響を与えるため、きちんとその特性を理解することが重要です。
例えば、紙は目と平行に折る「順目」では折りやすく、目に逆らって折る「逆目」では折りにくくなります。加工した印刷物が「逆目」の場合、折り加工がしにくくなります。
また、書籍のようなページものでは、「逆目」だとページが開きにくく、めくりにくいという問題が発生します。
そのため、印刷物を作る際には、印刷物のサイズ、印刷機の大きさ、製本の仕様などを考慮した上で、用紙の「タテ目」や「ヨコ目」を選択し設計する「面付け」という作業が重要になります。
▼面付けについてはこちらをご覧ください。
印刷会社では、いくつもの複雑な要因を考慮して用紙や印刷機の選定をしています。
もちろん当社でも、印刷物の用途に応じて、最適な用紙・方法で印刷物の製造を行っています。
印刷物についてご相談等ありましたら、ぜひお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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