「2019年映画の振り返り」といってもそんな大それた「総括!」みたいな事をするつもりではないのです。
本当はベスト5をやろうと思ったのですが、昨年はこれが私の1位だ、と個人的に強く推せる作品に出会わなくてですね。ベストを書くモチベーションにならなかったので何となくボンヤリした感じのこのタイトルな訳です。
2019年映画の中でもすごかった「アベンジャーズ/エンドゲーム」
いや決して注目すべき作品がなかった訳じゃないのですよ。例えば「アベンジャーズ/エンドゲーム」ですよ。見てなくてもアベンジャーズって名前くらいは何となく聞いた事があるかもしれませんね。
これはMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)っていうシリーズものなのですが、2008年から始まって22作目のひとまずの大きな〆の作品だったのです。22作ですよ。11年で22作って「男はつらいよ」シリーズくらいのペースですよ。因みにこっちは11年で26作。昨年、前作から20年以上経ってからの50作目をやった訳でこれはこれで凄い話ですね。
話が逸れましたが、22作の集大成としてここまで完璧な作品があるのかって出来でしたからね。そもそも11年22作ってシリーズを成し遂げたこと自体がビックリじゃないですか。当然予期せぬトラブルもあったでしょうしね。現にそんなトラブルもありましたが、上手い事リカバリーしての大団円だった訳で幸運なシリーズという言い方もできますが、幸運という言葉で片づけるのは失礼にあたるような製作側の苦労もあったんじゃないかと思うと頭が下がります。
劇場もみんな始まる前から凄まじい興奮でね、私の前に並んでいる高校生らしき男子二人組なんて「前日から興奮しすぎて頭が痛いから頭痛薬飲んだ」なんて話していましたし、観終わってトイレに入ろうとしたら白人の少年が過呼吸気味に出てきて「オーマイガー!オーマイガー!」って言っていましたからね。なかなか、ここまで興奮した現場に立ち会えるものじゃないですよ。
因みに先ほど「ひとまず」の〆と書きましたが、このシリーズまだ続いていて続きの作品が既に公開していますし、2022年くらいまで今後の計画が立っています。ここまでが凄かった分、これからが正念場ですが、まずは5/1公開の「ブラック・ウィドウ」。楽しみです。
2019年映画の中でも話題になった「スター・ウォーズ」
そしてシリーズと言えばですよ。外せないでしょ、スター・ウォーズ。話したくないですけどね…。
知らない人のためにざっくり説明をすると6作で完結していたシリーズの権利を持っているルーカスフィルムって会社がディズニーに買収されて、ディズニーに権利が移ってから新シリーズとして前6作からつながる形で3作の新作を作ったんです。で、ですよ、まあ、あくまで私の話なんで異論がある人もいるでしょうが、前作8作目の段階でもうボロボロだった訳です。今回はどう頑張っても尻拭いを仕切れないだろう事は分かってはいたのですが、いたのですがねえ…。まあ、細かく話すとキリがないのであまり深くは突っ込みませんが、ただ3作観て言える事はどういう軸の話にするのかの青写真を描かずに始めたとしか思えないってことですよ。だって行き当たりばったり過ぎますもん、話が。
実は先に述べたMCUシリーズもトップはディズニーなのです。同じディズニーでシリーズ集大成に何故ここまで大きな差が出たのか。MCUはマーベルスタジオという会社が主導して作っていてシリーズをまとめているのはケヴィン・ファイギという人。対してスター・ウォーズはルーカスフィルムが主導で、まとめているのはキャスリーン・ケネディという人なんですね。おそらくこの二人の差なんだろうと思います。で、それを裏付けるかの如く、まあまだどうなるかハッキリわかりませんが、スター・ウォーズの今後の作品にケヴィン・ファイギも絡んでくるみたいなんですよ。いやあどうなるんですかね。キャスリーン・ケネディもルーカスフィルムの社長である事に変わりはないのでどういうパワーバランスの元でスター・ウォーズが作られていくのか、あまり期待はしないようにしつつ、だけどやっぱり楽しみかも。
そういえばスター・ウォーズ、今作で完結なのに続きってどういう事?と思った方もいると思うのですが、おそらく終わりません。ディズニーは「2022年までは作りません」と言っています。後、2年ですよ。もう少し反省しろ!と言いたいですよ。ただ皆さん考えてみてください。スター・ウォーズの新作を作れば確実にお金が入る訳ですよ。ディズニーがやめると思いますか?それとディズニーは男の子向けのコンテンツが弱いってのも理由で、だからヒーローもののMCUやスター・ウォーズはそこを補っていく上で重要なんですね。
まあ、スター・ウォーズ本編はともかく他にもアニメだったり、配信ドラマシリーズで今も新作が出ている状況で、そっちの方は好評なので、それらサブの作品たちが楽しみですね。特に「マンダロリアン」という配信ドラマ作品。まだ観ていないのですが非常に良いらしいんですよ。日本だとディズニー・デラックスという配信サービスで昨年12月26日から配信が始まっているので、私は1シーズン全話出揃った段階で入会しようかなと思っています。ああ、早く観たい。
映画ファンとしても見逃せない動画配信サービス
そして、この動画配信サービス、これを外す事は今年の話をする上でもできませんね。月額制で、登録するとそのサービス内のコンテンツがいくらでも観られるってシステムな訳ですが、その動画配信サービスをやっている会社自体がお金を出してオリジナルで作っている作品達があるのです。それらは映画界の有名監督達も結構かかわっていたりして数年前から注目されていたのですが、2019年は大きな出来事があったんです。
だれもが名前を聞いたことはあるでしょうが、アカデミー賞っていう数ある映画賞でも一番権威ある賞。この賞に動画配信サービスNetflixのオリジナル作品でアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」が10部門ノミネートされて外国語映画賞、監督賞、脚本賞を取ったのです。因みに作品賞にもノミネートされていて、もし作品賞と外国語映画賞(この作品はメキシコ代表として選出)両方を取ったら史上初の出来事だったのですが流石にそれはありませんでした。
日本でもこの事態を受けてイオンシネマで複数館が急遽劇場上映したのです。今年もゴールデングローブ賞のドラマ部門では5作のノミネート中、3作(「アイリッシュマン」マーティン・スコセッシ監督、「マリッジ・ストーリー」ノア・バームバック監督、「二人のローマ教皇」フェルナンド・メイレレス監督 このメンツですよ!凄くないですか!!)がNetflixオリジナル作品でノミネートされていて、結果はサム・メンデス監督の「1917 命をかけた伝令」が受賞したのですが、5作中3作を占めている訳ですから今後の注目作としてNetflixオリジナル作品は外せない訳です。
なんでこんなにNetflixに良い作品が多いのか。それは上記のオリジナル作の監督達を見ればそもそもメンツが凄い事が分かりますが、じゃあ何故それだけのメンツが集まるのか。一つに「撮りたい題材を撮りやすい」環境だという事が挙げられます。
今の映画業界はお金をかけた超大作か、賞レース狙いのアート作に2極化していて、それは何故かというと確実に儲かるという見込みのある作品にしかお金が集まらないからなのですが、動画配信サービスは登録者から月額でお金が入るため、収益が安定していて、かつコンテンツ選びは登録者の自由なので作品の表現に関しても映画より尖った事をやりやすい環境でもある訳です。収益が安定していてお金が出しやすい、だから作り手の作りたい企画が通りやすい、そして物凄い人材が集まり、作りたい物を作り結果それが面白い。さらに登録者が増えるというプラスの循環構造になっているのです。
個人的に残念なのが映画館という良質な鑑賞環境で観たい作品達が劇場で観づらいという事。絶対に観られない訳ではないのです。「ROMA/ローマ」以降、一部の劇場が期間限定で細々と上映をしていたりして、上記のゴールデングローブ賞ノミネート作3作もやっていました。ただ上映回数とか館数とか、なかなか予定合わせて観に行くのが厳しいのですよ。ならば家の鑑賞環境を良くするしかないのか?…っと!これ以上は止めましょう。何にせよ、興行側だって人を入れなきゃならない訳だし、こうもっとNetflixオリジナル作品が劇場で観られるようになりませんかね。まあ、今後に期待という事で。これを書いているのが1月13日なんですが、アカデミー賞のノミネート発表日ですから果たしてNetflixオリジナル作品がどのくらい絡むのか、アカデミー賞も楽しみです。
いやあ、いろいろ楽しみだなあ。今年はどんな作品に会えるのか。因みに今年の作品だと昨年カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を取った「パラサイト 半地下の家族」や、日本では同じ週に公開(パラサイトはTOHOシネマズ日比谷だけは昨年から上映していて、全国公開は1/10です。ここでの公開日がいっしょは後者を指しています)の「フォードvsフェラーリ」は物凄く面白かったですよ!ただこの話を細かく始めるとキリがないのでここらで終わりにしますね。
駄文をここまで読んでくれた方、ありがとうございます。読んでくれたそんなあなたには今年良いことありますよ。と言いたいですが、そんな事を保証する力は残念ながら私にはありません。今年も良き出会いを祈って!さようなら。
ちなみに、同じ筆者の2018年映画の振り返りはこちら!
*「私」の2018年映画ベスト5【第5位~4位】
*「私」の2018年映画ベスト5【第3位~1位】