「私」の2018年映画ベスト5【第3位~1位】

コラム

前回の記事では、第5位と4位の映画をご紹介しました!
今回は、第3位~第1位までを発表します!

第3位「ブリグズビー・ベア」

あらすじ

主人公ジェームズは外の世界は危険であると両親に教えられ、地下に作られた家から外に出たことがないまま25歳を迎えた。そんな彼の心の拠り所は教育番組「ブリグズビー・ベア」。
しかし、ある日やってきた警察によりその生活は終わりを迎え、自分が小さい頃に誘拐されたこと、「ブリグズビー・ベア」は誘拐犯が作った偽の番組であったことを知る。そんな彼の心に浮かんだのは「じゃあブリグズビー・ベアの続きの話はどうなるのか…自分で作るしかない!」という思いだった。

みどころ

これも誘拐なんてのっけから重そうなワードで始まりますがコメディ映画です。
とは言っても当然、それぞれの登場人物の葛藤はありますよ。何しろ主人公の両親からしたら実の息子を誘拐した犯人が作っていた作品「ブリグズビー・ベア」の世界から息子が抜け出そうとしないのですから気が気ではないです。両親としてはもちろん「ブリグズビー・ベア」以外の世界を知ってほしいと思うのは当然なわけでその気持ちはよくわかります。

しかしまた主人公の視点にたてば「ブリグズビー・ベア」が人生の支えだったわけです。もし、何か譲れなく好きなものが存在する人にとっては彼にとっての「ブリグズビー・ベア」がどういった存在なのかがわかるのではないでしょうか?
私にとってそれは映画なのですが、私は消費する側の人間です。ほかにも趣味はありますがそれも本、漫画、ゲームだったりと物語をひたすら消費し、生産していません。私に関しては現実から逃げたいのかと言われれば否定はできないのも正直なところです。
ただ「物語」とは本当に逃避するだけのものかと言えばそれは違うわけです。それは私にとってもそうなわけで、なぜ「物語」が存在するのか?その意味を劇中の「ブリグズビー・ベア」制作過程を通して主人公たちは見せてくれます。好きなものがあるって素晴らしいなと教えてもらえるのです。何か譲れなく好きなものがある人には強く勧めたい作品です。

またこの作品にはマーク・ハミルが出ています。「スター・ウォーズ」好きには言うまでもないですが、主人公ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルです。
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」にはいろいろな意味で怒りを感じた人が多いと思いますが、マーク・ハミルの扱いということに関しては「ブリグズビー・ベア」は「スター・ウォーズ」以後、声優として成功したマーク・ハミルのキャリアを活かしたリスペクトある配役になっており、その点、最後のジェダイの溜飲を下げる一助になるのでその点でもおすすめです。

第2位「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」

あらすじ

全米女子テニスチャンピオンであるビリー・ジーン・キングという実在の人物が主人公。
現代でもまだ残る問題ですが、この作品の舞台となる1973年、全米テニス協会が発表した女子の優勝賞金は男子の1/8。それに怒った主人公が協会を脱退し、友人のジャーナリストと女子テニス協会を立ち上げるところから物語は始まります。その状況に目をつけるのが本作のもう一人の主人公ボビー・リッグス。現役からは引退していたものの1938年に史上初の年間グランドスラムを達成した選手で、そんな彼が「男性至上主義のブタ対フェミニストと銘打って試合をしよう!」と電話をかけてくる。当初ビリーはその申し出を相手にしなかったものの自身の最大のライバルであるマーガレット・コートが受けて立ち、ボビーに負けてしまったことでその試合を受けざるを得なくなる。かくしてテニスを越えた女性の尊厳をかけた戦いが始まる。

みどころ

上記の通り史実であり、この出来事があったため、スポーツにおける男女の賞金という部分では現在テニスが最も格差の少ないスポーツなのだとわかりそれだけでも勉強になりました。しかしこの作品よい意味でシンプルな話でなかったのが驚きでした。

というのもビリー・ジーン・キングという人物をよく知っている人には意外性はないのでしょうがLGBT問題もかかわってきますし、私にとって一番の驚きはボビー・リッグスが男性優位主義者では全くなかったということです。ではなぜボビーはそんな形での試合を行ったのか、その1点において私はむしろボビーの方に感情移入をしてこの作品を観ていました。冒頭、自身が勤める会社の一室からつまらなそうに外を眺めているボビー、奥さんから禁止されながらもギャンブルをやめられないボビー、そのボビーがもう一度楽しめると見つけた彼にとってのお祭り。スリルと華やかな舞台がなければ生きられない憎めない男ボビー。しかし後半の奥さんへのあるお願いでボビーが奥さんをリスペクトしている人なのだと分かると共に、自身の性分をダメだと自覚しているとわかるシーンで涙腺は完全に決壊。この時のボビー演じるスティーブ・カレルの「分かっちゃいるけど変えられないんだよなあ」ということがありありと伝わる表情。この瞬間は2018年に私が選ぶベストアクト!といえる最高の瞬間でした。内容に深く触れず思いだけが先走っているのでぼんやりした文章になりましたが、スティーブ・カレルの演技とボビー・リッグスへの共感度という部分で私の心を強く掴んだ作品でした。

しかしそのポイントを除いてもヒューマンドラマの質が圧倒的に高く、あるアクションに対してこういうレスポンスがあるだろうと予想する部分をちゃんと説得力をもった形で裏切り人間描写のリアリティをありきたりな作品より1段階上の次元で行っています。
上質なヒューマンドラマが観たい人には文句なしでおすすめの1作です。

第1位「ブラックパンサー」

あらすじ

表向きは貧しい農業国であるアフリカの小国ワカンダ。しかし、実態は世界で最も科学が進んだ国であり、その理由は、かつてワカンダに落ちた隕石に含まれていた特殊金属「ヴィブラニウム」を研究、開発したことにある。ワカンダは国を守るために先祖代々、その技術を秘匿し貧しい国を装ってきたが国王ティ・チャカはその考えを改め国連会議に出席することを決意。しかしその決意も空しくテロに巻き込まれ不慮の死を遂げてしまう。王子ティ・チャラは国を守るため伝統通り国を閉ざすか、それとも世界のために国を開くかを迷いながら国王即位の時を迎えていた。
一方、アメリカのニューオーリンズの最底辺で育ち、海軍兵学校を19歳で卒業、独学でMITに進学し、その後米海軍の特殊部隊シールズに入隊した経緯を持つエリック・キルモンガーはワカンダの秘密を知る武器商人ユリシーズ・クロウと手を組み密かにワカンダを狙っていた。

みどころ

全米歴代興収3位、全世界歴代興収9位というモンスターヒットであるとともに、主要キャスト、スタッフがほとんど黒人である事も歴史的に大きな意味のある2018年を代表する1本と言っても過言ではない作品。

架空の設定とはいえ、現実世界の状況を反映した設定になっているのが面白い。もともと、アフリカは地下資源が豊富にあったが欧米の植民地となり、搾取されてきたから貧しかった歴史がある。もし植民地になっていなかったとしたら、というifが本作の設定になっている。

主人公ティ・チャラは国を開くか、閉ざすか葛藤しており、国王という立場から考えればその葛藤も理解できるが、現状は結果として、周辺国の状況を見て見ぬふりをしているも同然であり、そうなると悪役であるところのエリック・キルモンガーがワカンダの技術力でしようとしていることに一理あるように思えるようになっている。エリック・キルモンガーはニューオーリンズの最底辺で育った黒人なのだが、アフリカ系アメリカ人の歴史をさかのぼれば奴隷としてアフリカ大陸から連れてこられ、その後の差別に長く苦しんだ(今もまだ苦しんでいる人もいるだろう)わけで彼はその悲哀を背負ったキャラクターになっている。その背景があるため彼の動機により強く共感できるようになっており、観ている私はティ・チャラとキルモンガー二人の想いの板挟みになり、途中からどちらの想いに共感して泣いているのか、分からない有様だった。
上記のような内容なのでナショナリズムが世界的に強くなっている現在、より強く刺さる。

時事性という点では女性が力強く描かれているのも特徴の一つ。ティ・チャラの妹シュリはワカンダの科学部門のトップとしてさまざまなガジェットを発明し、国王の衛兵は全員女性で隊長は槍一本で敵をなぎ倒し、ティ・チャラが想いを寄せる女性は国外に出て貧しい周辺諸国を影ながら手助けする女スパイをしている。

そんな社会派なテーマではあるが、あくまでヒーローもの。決して説教臭くはなく上記盤石の設定で観客の心は捉えつつ、迫力のアクションでエンターテイメントとしてリズミカルに見せてくれる。視覚的な素晴らしさで言えば今作は衣装、美術にアフリカの伝統を盛り込んであり、一風変わったルックなのも魅力の一つ、それは音楽にも言えることで聴覚的にも他では味わえない独自の味がある。何しろ撮影現場にはワカンダの大辞典が存在していたらしく、例えばワカンダに存在する複数の部族の衣装には、それぞれ実在のどの部族の衣装風に作るかといったような設定がこと細かに記されていたらしい。この一点だけでもワカンダの設定がいかに緻密に作られたかがよくわかる。個人的にはこの辞典を一般向けに出版してくれないかを期待している。

だらだらと長く書いてしまったが、どの要素をとっても大好きなのが本作である。ぜひ、皆さんに観ていただきたい。観終わった後には「ワカンダフォーエバー!」と叫びたくなる事、間違いなしの1作です。

以上、「私」の2018年映画ベスト5です。
稚拙な上に、長い駄文に最後まで付き合ってくださった方、あなたはきっとよい人なのでしょう。ありがとうございます。今年もまたよい映画に出会えることを楽しみに日々、精進しようと思います。
機会があれば、また。

TAG:映画 

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