映画マニアが語る「DLP上映」と上映トラブルの話

コラム

上映トラブルの話

こんにちは。生産管理課のフカです。

このヒラメキ工房では“映画マニア”という個性を活かし、さまざまな企画や映画に関するコラムを書いてきました。

▼当社のクリエイターたちに“映画に関する問題”を出したら、予想以上に盛り上がった話。

映画マニアからの問題にクリエイターたちは正解できる?【第1回映像美ディスカッション(前編)】

毎年映画に関するコラムを執筆しているので、今年も例に漏れず2021年の映画を振り返ろうと思いましたが、今回は上映トラブルの話をしようと思います。

▼過去の映画の振り返りはこちら。

【2020年上半期 映画振り返り】今年も映画愛を語ります!

「DLP上映」と上映トラブルの話

まず、なぜ「上映トラブル」の話をしようと思ったのかを説明します。

この時期になると、映画についての原稿依頼がヒラメキ工房編集部から来るだろうと予想はしていたのですが、当然、年ベストとか、1年の振り返りとか、そういった内容が適しているわけです。
ただこれを書いているのが12/19なのでベストには早いし、ボンヤリ振り返りでも書こうと12/17の段階では思っていたのです。そう、12/17までは。

しかし昨日(12/18)、「マトリックス レザレクションズ」を観に行ったところ、機材トラブルで上映が中止になるという出来事が。
そこから「そうだ、上映トラブルについて書こう!」と思い立ったわけです。

映画館

映画館で今まで1,500本以上は観ていますが、「上映中止」に自分自身がぶち当たったのは昨日が初めてでした。
当然、返金対応という形になり、皆が列を作って対応待ちをする訳ですが、「待ちに待ったのに」と言った感じで落胆した顔あり、非日常な出来事にやや興奮した顔あり、といった感じで、それを見ていると自分自身が映画館で働いていた時の上映トラブルの記憶が色々と蘇ってきました。

ちなみにその日の私自身はと言いますと、ここ最近色々なことが思い通り運ばず、マトリックスのチケットもネット購入時に1クリックで購入というタイミングで回線が切れ、結局好みの席が買えなかったということもあり、上映中止となった時も「なんとなく、そんなことになる気もしたさ」と妙な納得感がありました。

黒のブーツ、黒のジーンズ、黒のロングコートという完全マトリックス気分の服装で観に行きましたが、マトリックスは諦め、翌週観るつもりだった「悪なき殺人」という作品をマトリックススタイルのまま観に行きました。


そんな千何百本分の一だった上映中止ですが、映画館で働いていた時には何度か遭遇していて、そこで出てくるのが「DLP上映」
何のことかと思うでしょうが、何のことはなくてデジタル上映のことです。

「えっ?今って殆どデジタル上映でしょ?」と思うでしょうし、その通りなのですが、私が映画館で働き始めた高校3年の冬休み(17年前)は、世界はまだフィルム上映が主流だったのです。

そう、私が映画館で働いていた00年代前半から2010年代初めは丁度フィルム上映からデジタル上映への過渡期だったわけで、私が勤めていた今はなき109シネマズMM横浜は、神奈川県で初めてデジタル上映設備を取り入れた映画館だったのです。

今でこそ当たり前になったデジタル上映ですが、MM横浜のDLPは本当に故障ばかりで、映像と字幕がズレて出たり動かなかったりと、スタッフ泣かせの困ったちゃんでした。

書き入れ時の休日に、丸1日上映中止になった日などは千人近いんじゃないかっていう返金対応列のお客さまに罵声を浴びせられながら、列整理をした記憶があります。作品は覚えていませんが「海猿」だった気がします。

あと、「これは酷い!」っていう記憶だと「STARWARS エピソードⅢ シスの復讐」の上映途中での故障です。

パルパティーンがオーダー66を発令し、ジェダイたちが次々に殺され、生き残ったオビワンとヨーダがオーガナ議員の船でこれからどうするかを話し合い、ここからクライマックスという時点で故障。
DLPちゃんの仕打ちで最高に酷かったのはこの時なんじゃないかと私は思います。

結局復旧せず返金対応になったわけですが、これ(その時点での)シリーズ最終作だったわけで、前作から楽しみにしていたお客さんは話がどうなるのか気になって寝れねえだろなあ、と思いましたもんね。

映画館

そんな我が青春のMM横浜は、デジタル上映を神奈川で初めて導入したことが売りだったはずなのに、デジタル上映が普及し、新しく建つシネコンはデジタル上映が主流になったことで、いつの間にか神奈川のシネコンでフィルム上映を行っている数少ない映画館の一つになり、2015年に役目を終えました。

話が本筋から外れましたが、他にも自身が体験したトラブルだと「1.5倍速みたいな映像だけどジョニー・トー監督だから何か斬新な演出なのかもしれない」と思ったら本当に1.5倍速でスタートしていて上映し直した「ホワイト・バレット」

エンドロールに入る直前で地震によって止まった3.11の時の「悪魔を見た」、なんかは一生忘れることはないでしょう。

せっかく時間を作ってきたのにと落胆したり怒ったりする気持ちもわかりますが、映画って作品のクオリティだけでなく、その時の人生のタイミングだったり、置かれた状況・環境で忘れられないものになったりもするので、「今回のマトリックスも得難い体験をしたな」と今は少し得した気分だったりもします。

そもそもチケット購入時に観たい席が取れなかったわけで、もう一回席取りのチャンスがもらえたと思えば、むしろツイていたのかもしれません。
今週はまた席取りにチャレンジし、12/25は再びマトリックススタイルで観に行こうと思います。

最後に

ここで締めたかったのですが、これを書いている12/19の朝に知った神田沙也加さんの訃報に触れないわけにはいかないと思い、上記記事とは全く関係ないですが書かせていただきます。

私は彼女の熱心なファンというわけではないですし、彼女が携わった作品にそれほど触れてもいません。
ただ同い年ということもあり、薄い親近感をずっと感じていましたし、私が自分自身を「人」と呼んでも良いのかと思う位に未熟だった中学生の時に、彼女は既にスクリーンデビューを果たしていたわけで尊敬もしていました。

近年では大作ミュージカルへの出演も続き、ディズニーアニメの「アナと雪の女王」(長編2作や短編など)での演技も素晴らしく、同年の星として誇らしくあり、私も頑張らねば、という励みにもなっていました。

今朝訃報を知り、しばらく思考停止してから「アナと雪の女王2」の劇中歌「わたしにできること」を聴きました。
私も30半ばという年齢を迎えて自身の人生を見つめ直し、悩むことも多い今日この頃ですが、彼女がアナとして歌ってくれた通り、一歩ずつ「できることをやろう」と思います。

非常に寂しいし、惜しい気持ちでいっぱいですが、素晴らしい作品を遺してくれたことに感謝しつつ、ご冥福をお祈りいたします。

 


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TAG:映画 時事 横浜 

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