Google社のWeb検索エンジンで検索するという意味の俗語「ググる」は、使われ始めて約20年、すでに一般化しています。検索で情報を知る時代はもちろん続いていますが、近年、SNSで情報を探す時代となり、「ググる」から「タグる」にシフトしたといわれています。
「タグる」は、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNS上の情報と出会う際に鍵となるキーワードを探す行為を指すネットスラング。「手繰り寄せる」という言葉も通じるこの俗語が使われるようになりました。「タグ(tag)」の意味は、荷札、名札、値札。
ご存じのように、SNS上ではキーワードのタグの役目を記号の「#(ハッシュマーク)」で表すため「ハッシュタグ」と呼ばれています。
#を使う「ハッシュタグ」とは?
PCの場合「shift」を押しながら「3」を押して入力する「#」は、「番号記号(number sign)」、「パウンドサイン(pound sign)」などの呼び名があり、番号を示す数字の前に置く形で使われることの多い記号。
古代ローマで重さを表す記号として使われたポンド記号「lb(リブラ)」に横棒を引いたものが、時代とともに変化したといわれています。
「ハッシュ(hash)」と呼ばれるようになったのはインターネット普及後。1970年代からコンピュータプログラムのC言語の記号として使用されていた「#」は、もともとハッシュドビーフなどの料理名も存在するように、「薄く切る」などの意味の「ハッシュ」の呼び名が定着。
「#」の付いたタグ「ハッシュタグ」が生まれたのは2007(平成19)年。Googleなどの開発者の一人がTwitter上のツイートを効率よく整理する方法として使ったのが最初といわれています。その2年後にはTwitter社がハッシュタグの公式サポートをスタートしました。
当初のハッシュタグには、英語と数字しか使えませんでしたが、2011年(平成23)年からはひらがな、カタカナ、漢字に対応し、日本語の使用が可能になりました。
その後は、Twitterだけでなく、Facebook、Instagram、LINEのタイムラインなどSNSユーザーのハッシュタグ利用率が一気にアップ。日常ネタからおすすめトレンド、イベント、ゲーム、時事ネタまで同じものに興味を持つ人同士の交流も増え、プライベートからビジネスまで広い範囲で活用されるようになりました。
「#」記号はインターネット以前の1967(昭和42)年、米国で発売された押しボタン式電話機において、10ボタン式から12ボタン式に変わった際、「*」とともに加えられました。
もちろん日本でも「プッシュホン」の愛称で発売されましたが、「#」については「シャープ」という間違った呼び方が定着してしまいました。音楽の嬰記号「♯」は5線に重ならないように横棒が右肩上がりの別もの。むしろ「#」の呼び名としては漢字の「井」の形を図案化した文様の「井桁」のほうが正解ということになります。
印刷物の原稿では、「#」と「♯」が混同されたり誤って用いられていることもあり、校正時に注意する記号の一つになっています。
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