日頃、文章を書く機会の多い人の中には、文章中に括弧を使うことを好む人と好まない人が存在するようです。
あまり意識はしていませんが、私の場合明らかに「括弧好き」かもしれません。強いこだわりがあるわけではないものの、読み手を意識してついつい括弧に頼る傾向はあるようで。
そんな私が前から気になっていた「そもそも括弧とは?」について、検証してみたいと思います。
括弧が日本に伝わったのは?
括弧の代表「丸括弧(パーレン:Parenthesis)」の語源は14世紀頃。数学の記法の発達とともに使用されるようになったといわれています。
日本に伝わったのは明治以降とされていますが、それ以前も蘭学書などに使われていたという説もあります。
「括弧」という名称については、中国語の翻訳に携わったイギリス人のA・ワイリ(偉列亞力)が、数学所の翻訳の際に「括る」と「弧」で「括弧」と訳したのが起源で、明治初期に中国から日本に伝わったとされています。
しかし、当時はまだ句読点すら使われなかった時代。句読点を始め、印刷組版において文章の記述に使用する記号類である「約物 」が広く定着し始めたのは明治中期以降といわれています。
ただし、鉤括弧(「」)については江戸時代から会話文などで類似の記号が使われており、「〽」の形の「庵点 」が変形したものと考えられています。
庵点は歌や台詞などの頭にだけ始まりを示す記号として使われ、輸入された丸括弧の影響を受けた後に、「 」のように対で使われるようになったとされています。
括弧の種類は豊富
括弧には丸括弧、鉤括弧の他に、『 』二重鉤括弧、[ ]角括弧(ブランケット)、{ }波括弧(ブレース)、〔 〕亀甲 括弧、< >山括弧(ギュメ)、【 】隅付き括弧、“ ”引用符(ダブルコーテーション)などの種類があります。
一番多く使われる鉤括弧は、話したことや心に思ったことを書くとき、ある言葉を目立たせたいとき、強調したい、読みやすくしたいときなどによく使います。
二重鉤括弧は「 」の中にさらに「 」が入るときや書籍や映画などのタイトルを表すときに使用。
丸括弧は説明の補足や引用符としての使用が多く使われる他、(笑)に代表される表現技法にもよく使われています。
こういった表現は古くから議会や裁判所などの記録の際、発言状況を描写する役目で使われていたとされ、(拍手)や(笑聲)などと記述されていたようですし、戯曲や台本などの「ト書き」にも( )の中に発言者の様子や表情を表すために使用されました。
ちなみに、インターネット上の書き込みでは(笑)は(笑、(waraなどの変遷をたどり、wや爆笑を表すwwwで通じるようになったり、絵文字を使用するようになったり表記が進化しています。
時代を遡ってみると、いろいろな発見があっておもしろですね。