本や紙の一面のことを「ページ(Page)」といいますが、漢字では「頁」と書きます。
とても「ページ」と読む漢字には思えませんが、なぜこのような読み方になったのでしょうか?
今回はそんな「頁」の秘密に迫ってみました。
そもそも「頁」の漢字の意味は?
まず、「頁」という漢字について調べてみます。
漢和辞典で調べると、読み方は音読みで「ケツ」「ゲチ」「ヨウ」。
訓読みで「ページ」になります。
象形的には、ひざまずく人の頭部を強調して「かしら」の意を示しているようです。
意味は頭、書物の紙の片面、またそれを数える語となっています。
確かに、「頭」という字にも「頁」が旁で使われていますし、「顔」「額」「顎」「頸」と、人の頭部を表す意符として「頁」が使われているため納得できますが、ページとの関わりは見えません。
ちなみに、旁としての「頁」は字形が貝に似ているので「大貝」ですが、貝とは関係がないようです。
なぜ「頁」を「ページ」と読むように?
では、なぜこの字が「ページ(Page)」という外来語に使われるようになったのか、謎に迫りたいと思います。
そもそも外来語は「珈琲」「倶楽部」などのように音の近い漢字を当てるか、「煙草」や「麦酒」などのように、意味の近い漢字を使うかが一般的です。
なぜページは「頁」だったのか、江戸時代後期から明治時代あたりまで遡ってましょう。
日本に西洋式の製本術や西洋紙が入って来る以前は、書物は袋とじの和装本で、紙の表裏をひとまとまりで数える「丁」を使っていました。
折ったときの片側をそれぞれ「オモテ」「ウラ」と表し、「二丁のウラ」「三丁のオモテ」と表していました。
(「丁」は「折丁」「丁合い」などの印刷用語として、現在も残っています。)
その後イギリスから洋式の製本が伝わり、紙の一面だけを表す言葉を新たに作る必要がでてきました。
ここからは多少推察も入りますが、中国では紙を数えるとき、 木の葉のように薄い意の「葉(漢音的にはye)」を使っていましたが、日本ではすでに書物の間に挟む「栞(夾算)」などを数える単位として「葉」が使われていました。
たまたま「頁」も読み方が「ヨウ」だったため、「葉」のかわりに「頁」と書くようになり、これが幕末から明治の頃日本語に取り入れられ、「ページ」の漢字として使われるようになったと思われます。
しかし、中国語から取り入れたのは「頁」という漢字だけで、読みは外来語の「ページ」をそのまま使用したところは、いかにも外来語に寛容な日本らしいですね。
〈この記事を読んだ方にオススメ!〉
▼風水害予防絵本『みんな森の子供たちとアウル爺さん』が発売されました!
▼「中綴じ」「無線綴じ」の違いとは?メリット・デメリットの比較も