「下駄の日」にちなんで印刷用語にもある下駄の話

コラム

7月22日は何の日かご存知でしょうか。1899(明治32)年のこの日、日本で「著作権法」が制定され、著作権制度が創設されたことから「著作権の日」であり、海外表記のday/month形式の22/7から、7分の22=3.14…ということで、「円周率近似値の日」でもありますが、意外なことに「下駄の日」でもあります。1991(平成3)年に全国木製はきもの業組合によって制定されました。

なぜ下駄の日?

昔、男物の下駄は7寸7分と決まっていたので、7月の7は「下駄」の寸法から、また22日は「下駄」の歯形を並べると「二二」となることからこの日に決められました。時期的にも夏の祭りや花火大会と、浴衣を着る機会が多いこの頃に合わせての制定のように思えます。

身近な存在であった下駄

「下駄」といえばもちろん木でできた日本の伝統的な履物ですが、古代エジプトの出土品の中にも下駄に近いものがあり、日本においては弥生時代の遺跡から稲作に用いられた農具としての田下駄が出土され、歩行用に使われたものとしては古墳時代の遺跡から出土したものが最も古いといわれています。

「下駄」が使われた慣用句には、決定権を相手に譲り任せるという意味の「下駄を預ける」や、勝負はすべて終わるまで結果はでないという「下駄を履くまでわからない」、さらには、点数などを加算して押し上げるといった言葉の「下駄を履かせる」などがありますが、同じ「下駄を履かせる」の別の使い方が印刷用語にもあります。

印刷用語としての下駄

活版印刷の時代に、判読できない文字がある時や、指定された文字がない時、 あるいは作字が間に合わない時など、欠字として後で差し替えることを前提に、活字を逆さまにして補充することを「伏せ字」といい、「下駄を履かせる」とも表現しました。逆さまにした活字の背の部分は「〓」の形のためゲラ刷りの段階で「〓」のまま印刷され、それが下駄の歯のように見えたことから「〓=下駄」ということになったようです。もちろん初校あるいは再校の段階で「〓」の部分の文字は調達されるわけで、あくまでもダミーとして使われました。

現在もスピード優先のインターネットニュースなどにおいて、表現できない文字は伏字として「〓」を使っていますし、印刷の原稿入稿時にまだ決まっていない部分などにとりあえず●や■など、後で見つけやすい約物を入れておくケースがよくありますが、そこに「〓」を入れておくと、なかなか印刷のことをよくご存知ということになるかもしれません。因みに「〓」「げた」の入力で変換されますので、文章を打っていてそのような場面がありましたら、とりあえず「下駄を履かせて」いただくとよろしいかと思います。

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