前回は、「改行編」として、改行・改段・文字位置修正の記号のお話をしましたが、今回は、一見簡単そうな「トル(削除)」についてです。はたして皆さんは、日頃正しく指示できているでしょうか?
(改行編の記事はこちらからどうぞ)
削除した部分の空白、ツメますか?アケておきますか?
文字などを削除したいとき、よく使うのが「トルツメ」ですが、「トル」を使う方もいます。「トル」は基本的には「トルツメ」と同じ、“削除してツメる” という意味ですが、なかには「トル」を、“削除したままツメない” という意味で用いる方もいるので混乱します。
ですから、修正間違いを避けるために「トル」は使わず、“削除したママ、アケ” ておきたい場合には「トルアキ」もしくは「トルママ」と指示するとよいと思います。
修正指示の仕方
すでにお気づきかと思いますが、修正指示は原則カタカナを使います。
赤ボールペンで、削除(修正)したい範囲を○で囲むか、最初と最後の文字に斜線を引きそれを横線でつなぎ、引き出し線を伸ばして修正指示を書きます。
このときのポイントは、
・削除(修正)したい文字を指定するときは、塗りつぶしたりホワイトで消したりせず、元の文字が見えるようにしておくこと。
・範囲指定は、最初と最後の文字をハッキリさせること。(特に句読点を含むか含まないかなど)
・引き出し線は、それ以降の修正指示と重ならないよう、すでに校正が終わっている右上部分の欄外(空きスペース)などに伸ばして修正指示を書くこと。(できれば線が他の文字にかからないように)
ちなみに、修正指示は右上欄外に記入するのが基本ですが、そのために引き出し線が長すぎたり、引き出し線同士が交差すると混乱するので、その場合は適宜空きスペースに記入しましょう。
知っていると便利な記述記号の呼び名(その2)
文字と文字をつなぐ場合などに用いる短い横罫には、「ハイフン(半角):-」、「ダーシ/ダッシュ(全角):―」、「マイナス:-」などがあり、それぞれ長さと形が違います。書体によっても、それぞれ長さ・形のデザインが違いますので、Wordなどで自分が作った原稿と印刷用に組まれたもの(校正紙など)が同じにならないのはこのためです。
ですから、長さ・形を変えたいとき、この場合に限っては、「ハイフンにする」などの記述記号を使わずに、「もっと長く」や「もっと太いものに」などと言葉で指示をした方が思った通りに修正されると思います。
そして今回の、知っていると便利な記述記号の呼び名は、上記の横罫と間違えて使われていることもある「音引き(オンビキ)」です。伸ばし音や長音ともいい、カタカナ表記の「スポーツ」や「プリンター」などの「ー」のこと。記述記号といいながら、書体によっては太さの強弱があったり、文字として設計されているものもあるので、ダッシュなどと間違われていたら、「オンビキに」と赤字を入れてください。