三方背?スリーブケース?CD関連用語を印刷会社的視点で解説

クリエイティブ / 印刷・加工

三方背、スリーブケースとは

こんにちは。音楽が大好きなソネです!

突然ですが皆さん、最近CD買われていますか?
音楽の定額制サービス(サブスク)が増え、「CDを買わなくなった」という方も多いのではないでしょうか。

私もそういったサービスを利用することもあります。
ですが、好きなアーティストの作品はもっぱらフィジカル(=手元に残るメディア)で集めたい派。そのため、CDはもちろん、レコードも買って集めています。

やはり手元に残ると、ジャケットの紙の質感も含め、ひとつの作品を愛でてるような気持ちになります。…よね?(わかってくれる方はきっといるはず…。)

ところで皆さん、CDの宣伝文句のひとつに、「初回生産限定!三方背スリーブケース仕様!」などという文言を見たことはありませんか?

この「三方背スリーブケース」という言葉。あまりCDを買わない方にとっては馴染みがないかもしれません。

そこで今回は、この「三方背スリーブケース」がどういったものなのか。また、印刷会社的視点で「作る時の注意点」も含めて解説していこうと思います!

※本記事に出てくるCDの画像は全て筆者の私物です。当社の製作事例ではございませんので、ご注意ください。(趣味がバレますね…。)

【目次】
1.三方背スリーブケースとは
2.三方背スリーブケース(ブックケース)を作る時の注意点
3.おまけ:デジパック仕様について

三方背スリーブケースとは

「三方背」とは、漢字の通り、三方向に「背」があるケースのことです。
一つの面だけ空いていて、そこにCDを収納します。

(ということで、自分が所有しているCDの中で三方背スリーブケースを探してみました。ありました…こちらです。)

いわゆる「ボックス仕様」ですね。

特別感を演出する際や、複数のCDをセットで販売する際に、この「三方背スリーブケース」がついてくることが多いです。(なので「初回生産限定盤」につくことが多い気がします。)

では、「三方背ではないスリーブケースはあるのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あります。それがこちらです。

二方向が開いていて、どちらからでもCDを出し入れできるようなケースです。

いずれにせよ、特別感があっていいですよね。飾りたくなっちゃいます。(その分お値段が張ることも多いですが…。)

ところで、これを見ている方の中には、「ブックケースと同じじゃん」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

そうです。三方背スリーブケースとは、本に被せてある「ブックケース」と同じです
小学生の頃使っていた国語辞典についていたり、上下巻セットで売られている本についていたりする場合が多いですよね。

当社は、チラシやパンフレットなどの「商業印刷」を得意としている印刷会社。そのため、CDのジャケット・ケースの印刷は、お仕事としてあまり承ってない現状があります。
ですが、「ブックケース」であれば作成する機会も多くあります。

ということで、ここからは印刷会社的視点で、「三方背スリーブケース=ブックケース」を作る時の注意点をご紹介します。

三方背スリーブケース(ブックケース)を作る時の注意点

(ここからは、三方背スリーブケースを「ブックケース」と言い換えて、話を進めていきます。)

ブックケースはそもそも、上製本を入れるケースとして作製されます。
(上製本って何?と思われた方はこちらの記事をご覧ください。)

上製本にも使われる古来の接着剤「にかわ」とは

そんなブックケースの一般的な作り方ですが、厚紙を型抜きして、それを糊付け、もしくはステッチ(針金)で止めて立体的なケースを作成します。

その時に大切なのが「大きさ(寸法)を事前にしっかり確認すること」です。

当たり前ですが、中身の本の大きさをきちんと確認せずに作ってしまい、「ブックケースができあがったら中身が入らなかった…」なんて事態が起きてしまっては、笑い話にもなりませんよね。

そのため、サンプルを作ることがとても大切なのです。
このサンプルというのは、ブックケースのサンプルのことはもちろん、中身にあたる「本のサンプル」のことも指します

本来ブックケースは、本が完成した後に実物を確認しながら作ることが多いのですが、それだと全てできあがるのに日数もかかります。納期の都合上、それでは間に合わない、という場合もあると思います。

そういった時に、「本のサンプル=束見本」を作成することが大切になるんです。

束見本(つかみほん)とは、「ページ数や紙の銘柄、製本方法などを本番と全く同じ仕様で作り、本の厚さなど仕上がりを確認するためのもの」のことを言います。
仕上がりを確認するだけのものなので、多くの場合は印刷はせず、白紙で作ることが多いです。

束見本について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「束見本」本の仕上がりイメージをつかむダミーブック

束見本とブックケースのサンプルを作り、実際にセットしてみたり、大きさや使い心地をよく確認する。その上で製造に取り掛かれば、中身の本の製造と同時進行でブックケースを作ることができます。

時々、「サンプルは作らなくていいからその分安くしたい」と考えるお客さまもいらっしゃいます。
ですが、その進め方はとても危険ですので、必ずサンプル作製を行うようにしてください。

また、束見本やサンプルを作って確認した後に、「やっぱり本番でページ数を増やす!」といった変更もご法度です。せっかく確認した意味がなくなってしまいます…。
その場合は新たに束見本を作って、再度確認することを行ってください。

そして、ブックケースを作る上でもう一つ大切なポイントが「ゆとりを作ること」です。

印刷会社や製本会社に依頼をすれば、そこも加味して設計してくれることがほとんどだと思いますが、確認する側として覚えておいた方がいいポイントです。

皆さんも、「ケースがピッタリすぎて本が(CDが)取り出せなくなってしまった。無理して取り出したらケースが壊れてしまった…」といった経験ありませんか?(私はあります。泣)

こちらも当然のことですが、ピッタリに作ってしまっては取り出す時に大変です。多少のゆとりを持った設計にしなければいけません。

多くの場合、天地(高さ)にゆとりを持って作られることが多いです。取り出す時に指をひっかけやすいですしね。

当然、あまりにもゆとりがある状態では中で本が動いてしまい、それはそれでかっこ悪い状態になってしまいます。
そのためにもやはり、ケース・中身の本ともにサンプルを作って、仕上がりイメージを確認してから、本番の製造をスタートさせるのが大切なんですね。

おまけ:デジパック仕様について

いかがでしたでしょうか?

今回は「三方背スリーブケース/ブックケース」についての解説でした。

途中から本の話になってしまったので、CDの話に戻しますと…
もう一つ紹介したいCDの仕様として、「デジパック」というものがあります。

こちらは通常のプラケースとは違い、厚紙の台紙にプラスチックのCDトレーを貼り付けたパッケージのことを言います。

これもまた筆者の私物です…。

皆さんもこのような、二つ折り、もしくは三つ折りの紙製のパッケージを見たことがあるのではないでしょうか?

インターネットで少し調べてみると、「安っぽい」だとかの理由で、あまりこのデジパック仕様は好かれていないよう…。
なのですが、私はこの仕様が大好きです!

紙特有の温かみと言いますか、手にした時のワクワク感が違うような気がして、この世のCDのパッケージを全てデジパック仕様にしてほしいぐらいです。

アーティスト側も工夫を凝らしていて、厚盛加工がしてあったり、型抜き加工をしていたりと、紙ならではの楽しみというものを味わうことができます。

そう考えてみると、やはり紙の魅力というのは尽きないですね!
当社は印刷会社なので、改めて紙の魅力をもっと伝えていけたらいいなぁと思ったりするのでした。

 


本記事で紹介したような「ブックケースを作りたい!」という企業さまがいらっしゃいましたら、ぜひこちらのお問合せフォームよりご連絡ください。

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