「束見本」本の仕上がりイメージをつかむダミーブック

クリエイティブ / 印刷・加工

「ダミーブック(DUMMY BOOK)」をご存知ですか ?

読むための本ではなく、インテリアやディスプレイ、撮影小道具などに使うためのイミテーションの本です。アンティーク風のものやモダンなデザインのものなどがありますが、基本は見映えのいい洋書。厚さも大きさもいろいろありますが、カッコよさ重視ということでほとんどが上製本(ハードカバー)のものが多く、中には箱形になっていて収納ができるものもあります。

束見本とは

この「ダミーブック」とは見た目も用途も違いますが、印刷、出版の業界では「ダミーブック」とも呼ばれる「束見本つかみほん」というものが存在します。
書籍などを製作する際、事前に表紙や見返し、扉、本文など、本番と同じ製本方法で作るサンプルのことです。用紙は本番と一緒ですが、印刷工程に入る前に必要とするため、中身も表紙も無地のケースが多く、背の厚みや本の大きさ、重さ、手触りなど含めて仕上がりイメージをつかむこ とを目的として作られます。「束」はもともと、製本用語で本の背の厚み(背幅)のこと。厚みを見るための見本ということで「束見本」と呼ばれるようになったと考えられます。書店で大量に販売される本の場合は、本の装丁を決定する段階で何通りも「束見本」を作ったり、デザイン案を出したりすることもよくあります。

印刷・製本のサンプルとしての「束見本」は、使用後は特に使い途がありませんが、捨ててしまうのはもったいないということで、メモ帳や日記帳として利用することもあります。以前、百貨店でさまざまな「束見本」を販売する販売会が催されたこともありましたが、価格が安いこともあってそこそこ売れていました。

そんな「束見本」を題材にした推理小説が存在します。

都筑道夫氏 が1961(昭和36)年に発表した『猫の舌に釘を打て』(東都書房刊、後に講談社、光文社)という作品。「私は事件の犯人であり、探偵であり、そ してどうやら被害者にもなりそうだ」という書き出しで始まるこの小説は、主人公が編集者からもらった『猫の舌に釘をうて』という本の「束見本」に日記風の手記を書き留めるところから物語が進展し、読者がそれを読んでゆくという設定。「束見本」を利用した仕掛けと、その大胆なトリックが秀逸といわれる作品です。興味がある方はぜひご一読ください。
印刷会社では、本に限らずDM などで印刷物の送付が必要な際には、配布物の重さやサイズを確認する必要があるため、「束見本」を作るケースもあり、単なる見本といっても大事な役割を担っています。

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