「昭和→平成」と「平成→令和」を マーケティング目線で比べてみた

コラム

「平成→令和」の改元に対応して、さまざまな商戦が繰り広げられていますが、「昭和→平成」と比べて、「平成→令和」ではどんなことが起きたのか、時代の背景をチェックしつつ、マーケティング目線で「改元」を検証してみました。

「昭和→平成」の改元時に起きたこと

「平成」のスタートは、1989年1月8日(日)。前日の7日(土)に昭和天皇が崩御され、元号選定の手続きがとられました。前年の1988年から昭和天皇のご体調が悪化していたことで、自粛ムードに包まれていましたが、テレビで故・小渕恵三官房長官が「平成」の元号を発表した際の平均視聴率は50%を超えたといわれています。

改元の3日後に発売されたのが美空ひばりの遺作となる「川の流れのように」。平成という時代のスタートを象徴するような曲が街に流れました。

2月からは銀行の土曜日の窓口業務が中止され、平成を期に本格的な「週休2日制」がスタート。4月から消費税3%がスタートするなか、当時はちょうどバブル時代の絶頂期。改元と同時に「平成景気」と呼ばれるようになり、その先にバブル崩壊が待っていることを知らずに、浮かれ気分に包まれていました。

当時は、インターネットの黎明期。PCが一般家庭に入り込み始めた時代ではありましたが、マーケティングの主流はテレビCMを始めとしたマスメディア。折り込みチラシや交通広告、街頭広告、イベント、キャンペーンなどによる訴求が一般的で、広告効果のありなしが、わからないのが普通。消費は極端な景気の動向に左右された時代。しかし、現代主流となるさまざまなサービスやテクノロジーが、少しずつ形になになり始めた時代でもありました。

今回の「平成→令和」では何が起きたか?

「昭和→平成」のときと比べて今回の改元は、新元号の発表が改元の1か月前ということで、準備期間があるように思えましたが、それでも短すぎるといった声が多かったようです。しかし、発表前から「改元商戦」がヒートアップ。たとえばバレンタインデー、ホワイトデー、お花見といったイベントに商品やサービスを結びつけ「平成最後」を利用したマーケティングが盛んに行われました。

今回の改元においてネット上で最も拡散した令和関連コンテンツが、ビジュアル系エアーバンド、ゴールデンボンバーが発表した新元号ソング「令和」のYouTube動画でした。

4月1日の発表時にレコーディング風景を撮らせるなど、そのスピード感も含めて巧みなマーケティングに感心しました。

他には、4月1日にサンプリングイベントを実施した日本コカ・コーラの「令和コカ・コーラ」ボトルと森永製菓の「令和ハイチュウ」が素早い出足で話題を提供。その後は日本酒、お米、カップヌードル、お茶、お菓子、ゲームなどさまざまに「令和」を表記した商品が登場しました。

一方「令和」は5月1日スタートということで、ゴールデンウイークを絡めたイベントやキャンペーン、ツアーなどが企画され、以後、「令和」をモチーフにした商品やサービスも続々と登場。令和記念福袋や新元号のイニシャル「R」にちなんだ商品なども発売されています。

マーケティング的に平成の30年を振り返ってみると、インターネットが普及しIT技術を活用した「デジタルマーケティング」が浸透。スマートフォンを1人1台持つ時代になったことで、商品やサービスを購入する前に消費者は、口コミやECサイトをチェックし、時間をかけて吟味するようになりました。これを受けて広告もよりターゲットにあった宣伝やPRを行う手法が広がっており、30年の時代の変化を改めて感じずにいられません。

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