日々ニュース番組など、テレビを観ていると目にすることの多い「PRESS」という言葉。
「Press(プレス)」は、報道機関やマスコミ、ジャーナリストなどを表す言葉ですが、印刷とも関りが深い言葉です。
印刷は英語でもちろん「Printing」。
当社の英語表記は「NOGE PRINTING Corp.」です。
では、「印刷機」を英語に訳すと「Printing Press」。
しかも「Press」だけでも印刷機の意味があるとされています。
ついでにPressとPrintの語源を調べると、「押す」を意味するラテン語の「Premo」のようです。
ここで、なぜ印刷機がPressなのか、なぜ報道機関をPressと呼ぶようになったのか、という疑問が出てきました。
これについて探るために、印刷の歴史を遡ってみようと思います。
Pressになぜ「印刷機」の意味があるのか
Pressの意味は「Push」と同じ「押す」ですが、「圧力をかける」というニュアンスがあり、名詞では「圧力をかける装置」「圧搾機」とも訳されます。
古くからヨーロッパでは、植物の実などから油や果汁を得るために圧搾機が使われていました。
その代表的なものがワインづくりに欠かせないぶどうの圧搾機です。
その圧搾機を改造して印刷機を発明したのがドイツの金細工師、ヨハネス・グーテンベルクでした。
その結果、印刷機は「Press」と呼ばれるようになったのです。
グーテンベルクは金属活字を量産し、油性インクを採用するなどの方法で、1440年代に活版による印刷業をビジネスとして成功させました。
その後、「グーテンベルク聖書」と呼ばれる聖書をはじめ多くの印刷物を産むことになりました。
▼印刷産業の歴史については、こちらの記事で解説しています。
報道機関はなぜ「Press」と呼ばれるのか
大量印刷が可能になったことで、1605年に世界初の週刊新聞、1650年には世界初の日刊紙が発刊されました。
その後はヨーロッパで新聞が盛んに出版されるようになりました。
この頃から新聞や新聞社、出版社など、印刷を柱としていた業種の呼び名が印刷機の「Press」と同じ表現になったようです。
20世紀中頃以前は新聞が唯一の報道機関でしたが、ラジオやテレビ、あるいはインターネットでニュースが報道されるようになった後も、報道機関を表すPressが残り続けているということになります。
印刷の3つの「Press」
実は、印刷会社の工程は、印刷を中心にPressで表した3つの工程に分かれています。
まずは「前の」を意味する「Pre」をつけた「プリプレス(Prepress)」。
こちらは製版工程のことで、印刷物を作るための企画からデザイン、DTPなど、印刷のもととなるデータの作成から印刷するための刷版を作る作業までの前段階をそう呼びます。
次は印刷機を回して印刷をする工程、つまり用紙に対して圧力をかけインキを転写させる「プレス(Press)」。
最後は、印刷された用紙を仕様に合わせて断裁、製本、加工などの納品までのプロセスを「ポストプレス(Postpress)」と言います。
英語で「Postpress」はそのまま「製本」を表す語でもあります。
こうして見てみると、印刷物を作るまでにはさまざまな工程がありますが、「Press」=「印刷」を中心に考えられていることが分かります。
そしてその「Press」が「圧搾機」からはじまり、今は「報道機関」という意味にまで広がっていることに、言葉の面白さを感じました。
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