富士山型地震マニュアルができるまで!~前編~

インタビュー / 野毛印刷の人々

登場人物

  • シミズ マサキ富士山型地震マニュアル開発者

    野毛印刷の制作課制作グループの係長。
    MUD Director、DTPエキスパート等のDTPに関する資格を持ち、
    富士山型地震マニュアルでもMUD等の視点から、企画・開発を行った。

  • タナカ トシキヒラメキ工房 編集長

    野毛印刷の営業社員であり、本サイト『ヒラメキ工房』の編集長。
    富士山型地震マニュアルについて、今一度勉強し直そうと思い、
    この度インタビュアーに立候補。

先日Twitterで、当社で企画・開発をした、富士山型「外国旅行者のための英語版地震対応マニュアル(Disaster Prevention Guide)」が話題になりました!

社内でも盛り上がりましたが、「そういえばこれってどうやって作ったんだ…?」と感じた若い社員もちらほら…。今一度この製品について学ぼう!ということで、企画・開発を行った人物に話を聞いてみました!

旅のお守りとして、お土産として、そしてちょっぴり役立つものを。

まずは、このマニュアルを作成した経緯について伺いたいと思います。
どのような経緯で、このマニュアルを作ることになったのですか?

NPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会が、すべての人にやさしく、快適に利用できるデザインの普及を目的としたMUD活動の一環として、「メディア・ユニバーサル・デザインコンペティション」という名称のコンペを行っています。

たまたま前年に、当社が応募した「要援護者のための災害時支援マニュアル」が入賞しました。で、引き続き入賞を目指して応募することになり、制作係でミーティングを行った結果、やはり当社は防災に力をいれているから、防災に関連したものを作ろうということで話が進みました。

そこで出てきたのが「日本を訪問する外国人に向けた災害支援マニュアル」です。地震の多い日本へ来訪してくれる海外からのお客さまに、「安全で快適な旅のおまもりとして、お土産として、そしてちょっぴり役立つものを」というのがコンセプトでした。

結局、コンペでは入賞することができたんですよね。
具体的にこの形に決まるまでにはどんなことがありましたか?

方向が決まってから3か月くらい、仕事の合間にミーティングを繰り返しました。最初は普通の形を考えていましたが、パッと目がいくように形にこだわるというのもいいね、ということで最終的にこの形になりました。

当社では、「どこにもない」「誰もが目を引く」「こだわりぬく」の3つのこだわりを形にした、「こだわリーフ」という型抜き仕様のリーフレットを推進していまして、いろいろな形のリーフレットやパンフレットを作っていましたから、わりと自然ななりゆきで。

なるほど。富士山型になった理由はあるんですか?

富士山が世界文化遺産に登録されたというのもありましたね。そのままお土産として持ち帰ってもらおうということで、ここもすんなりと富士山型に決まりました。

災害時に一番困るのは、コミュニケーションがとれないこと。

内容について工夫した点は何でしょうか?

当社は企業・団体、学校などでお使いいただける、ポケット判の「大地震対応マニュアル」をずっと作っていますので、防災についての知識はありました。

ただ、あまりにも深刻な内容にすると、観光で来ている人たちの気分をそいでしまうことになると思いました。そこで絵を多めにして、あまり重い気持ちにならず、なおかつ最低限の地震への対応を載せよう、ということになりました。

外国人が日本の災害時に一番困るのはコミュニケーションがとれないことですから、絵で意思を伝える指さし会話欄を掲載するなど、基本的な挨拶程度のコミュニケーションがとれるよう、工夫しました。

中身はイラストがふんだんに使われ、デザインもポップだ。

今までの防災に関する印刷物の実績が、作る上で重要になったということなんですね。その他に、仕様やデザインでこだわった部分はありますか?

この折り方もこだわった部分の一つで、コンパクトなサイズと、伝えるコンテンツの量との兼ね合いにより、内容を絞ったうえでジャバラ折りの仕様としました。

もちろん、前提がMUDのコンペでしたから、MUDにもこだわりました。たとえば、色の区別をわかりやすくしたり、絵をふんだんに使って直感的に理解できるようにしました。フォントも、読みやすいフォントを使用しています。伝わりやすいように、簡潔な表現も意識しました。外国人向けのマニュアルですが、日本語と併記することで、日本人が見てもわかるようにしました。

開発者に話を聞いてみると、営業社員の知らない事がたくさんありました。防災に関する印刷物の制作や、こだわリーフの取り組み等、様々な挑戦・実績を経て、このマニュアルができているんですね。
対談はまだまだ続きます!『富士山型地震マニュアルができるまで~後編~』では、苦労した点や、制作陣の思いについて、より深く掘り下げていきます!

≫後編はこちら!

富士山型地震マニュアルができるまで!~後編~

 

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