9月8日は「国際識字デー」なぜ日本は識字率が高い国になったのか

コラム

9月8日は「国際識字デー」

9月8日は「国際識字デー」です。

「識字」とは、文字の読み書きができること。

成人のほぼ100%の識字率を誇る私たち日本人は、識字についてあまり考えることもありませんが、世界で文字の読み書きのできない非識字者は、約7 億7,500 万人。
これは世界人口(15 歳以上) の6分の1にあたり、そのうち約3分の2は女性といわれています。

国際識字デーとは

「国際識字デー」は、1965(昭和40)年9月8日から、イランで開催された「テヘラン会議」で、当時の国王が各国の軍事費の一日分を、非識字者のための識字基金に拠出するよう提案したのがきっかけ。会議の後に、米国の当時のジョンソン大統領(当時)が米国議会において、「テヘラン会議」を忘れないため、また、ユネスコの識字教育への貢献に感謝の意を表して、9月8日を「国際識字デー」に制定するように呼びかけました。

日本の識字率は数百年にわたって世界一

日本人の識字率についての古い統計は存在しませんが、江戸時代幕末期にはすでに世界一だったといわれています。武士はほぼ100%読み書きができていたし、庶民層でも男子50%前後、読み書きができたと。同時代の英国の下層庶民の場合、ロンドンでも字が読める子どもは10%に満たなかったそうです。
しかも、幕末期の就学率は80%程度。武士の子どもだけでなく一般庶民の子どもも「読み、書き、そろばん」を学んでいたそうです。義務教育ではなく自主的に運営された寺子屋に庶民の子どもがこぞって修学していたというほど、日本人の教育熱心さは知られています。庶民の間で人気の高いさまざまな出版物の出現、新聞の元祖「かわらばん」の存在が大きく、読書熱は想像以上に高かったといわれています。
さらに江戸時代だけでなく、時代を遡った鎌倉・室町時代に、日本に訪れる外国人宣教師などの言葉からも、すでに識字率の高かったという指摘がされています。
明治時代に入って識字率の調査が地域ごとに行われましたが、通商、交通の要所などで高く、それ以外は極端に低いなど地域格差が認められ、全国平均では男子が50~60%、女子が30%であったとされています。

日本語ローマ字化を撤回させた識字率の高さ

第二次大戦後、日本語は漢字が多く覚えるのが難しく、識字率が上がりにくいために民主化を遅らせている、という偏見からGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の発案で、日本語をローマ字表記にしようとする計画が起きました。それを受けて1948(昭和23)年に、日本初の全国調査「日本人の読み書き能力調査」を実施。その結果は漢字の読み書きができない者は2.1%にとどまり、日本人の識字率が非常に高いことが証明され、日本語のローマ字化は撤回されたという事実もありました。

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