小学校の「総合」という授業。
名前を聞いてどんな授業が行われているのか、ピンとくる方もいれば、全く想像できないという方もいると思います。
横浜市立鶴見小学校の5年3組は、2023年度の総合の授業で「防災マップ」を作り、防災知識の習得、そして啓発活動に取り組みました。
今回はその鶴見小学校の、総合の授業での取り組みをご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
総合の授業とは
総合(総合的な学習の時間)とは、小学校3年生以上の児童が教科横断的な学習に主体的に取り組み、問題を解決する探究学習の授業です。
地域の人々の協力を得たり、地域の教材を活用したりする工夫も求められています。
鶴見小学校の子どもたちは、「鶴見の持つ課題が知りたい」という想いから、区役所で働く方に話を聞きに行き、若年層の防災意識の低さが課題としてあることに気付きました。
そこで、総合の時間を使って、鶴見に特化した防災マップを作ることに決めます。
当社は、その防災マップを作る上で必要になる「防災アプリ」の制作でお手伝いをさせていただきました。
野毛印刷と鶴見小学校の関係
当社と鶴見小学校の関係は、一昨年(2022年)に鶴見小学校の小畑先生から当社にお問い合わせをいただいたことがきっかけで始まりました。
小畑先生は阪神淡路大震災の被災地である神戸市のご出身で、先生自身が防災教育を受けて育ってこられたことから、防災教育の重要さを人一倍実感されていました。
「防災絵本を作る」というテーマを4年生の総合の授業で取り組もうと考えていたところ、当社が「防災絵本 みんな森シリーズ」を販売していたことからお問い合わせいただき、当社が絵本の制作・製造過程を授業で説明するといった支援をさせていただくようになりました。
一年かけて完成した防災絵本は、「地域の人たちに役立ててもらいたい!」という子どもたちの想いから、子どもたち自らが区役所などに足を運び、絵本を置いてもらうための活動も行われました。
▼できあがった防災絵本
そして、この子どもたちの「地域の人たちのために」という想いは、5年生になって次のステージを迎えます。
「災害時を想定した鶴見の防災マップを作りたい!」
こうして、アプリを使った防災マップの制作が進められることになりました。
総合の授業で防災マップができるまで
防災マップの制作に必要なアプリの開発は、eラーニングのシステムやコンテンツを開発されている株式会社WARKさまにご協力いただきました。
もちろん、アプリの開発には子どもたちも携わっています。
子どもたちはプログラミングやアプリ開発のコツを授業で学び、それを活かしてアプリのアイコンや画面内に登場するキャラクターを作り上げていきました。
できあがった防災アプリ「鶴見自分防災マップ」は、地図上に印を付け、写真やテキストで災害時に危険な場所、役に立つ場所、といった情報を記録することができます。
▼完成した防災アプリ「鶴見自分防災マップ」
子どもたちは鶴見の街を歩いて、自分たちで見つけた情報をアプリに記録します。
複数の班にわかれて探索し、鶴見小学校5年3組独自の防災マップが作り上げられていきました。
防災学習の成果と発表
完成した防災マップ「自分防災マップ」は、3月11日(月)の授業でお披露目となりました。
子どもたちが課外学習で見つけた鶴見の街の防災ポイントが模造紙にまとめられています。
一つひとつの説明が詳細で分かりやすく、実用性の高い防災マップが完成しました。
さらにこの日の授業はちょっとしたイベントになっており、防災の知識を全校児童に向けて説明する場も兼ねていました。
防災マップについて説明するコーナーがあるのはもちろん、新聞紙でスリッパやコップを作るコーナーや、防災クイズのコーナー、風水害体験コーナーなど、さまざまなコーナーが展開されていました。
大人が知らないような防災の豆知識もあり、子どもたちは終始自信を持って楽しそうに説明してくれました。
この授業に見学に訪れた1、2年生も、皆楽しみながら防災に関する知識を学んでいました。
子どもたちの活動に寄り添い感じたこと
子どもたちは、「街をきれいにしたい」など、いつも「地域の人たちの役に立つこと」を考えていました。
近ごろ頻発する想定外の災害を見て、自分たちに重ね合わせた子も多かったのだと思います。
街に出て危険なところを見つけていく真剣な姿勢には、逆に私たち大人が気付かされることも多くありました。
防災とは、当たり前のことが当たり前でなくなる時のことをリアルに想定し、それに備えること。
しかし、そうとは分かっていても、自然災害は突然発生してしまいます。
今回、鶴見小学校の5年3組の取り組みに携わり、私たちもしっかり考えて備えなければならないと改めて感じました。
当社としても、引き続き防災に関する取り組みを後押ししていこうと思います。
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