野毛印刷の仕事人ファイル No.07 ~ 映像ディレクター 綿引靖典 ~

インタビュー / 野毛印刷の人々

野毛印刷の仕事人ファイルNo.7
綿引靖典の「仕事の流儀」

*プロフィール*
綿引 靖典
クロスメディア推進室 映像ディレクター・カメラマン・構成作家
2014年入社 42歳
実写を中心とした動画コンテンツの企画・構成、演出、撮影、編集のほか、クロスメディアサービス「C.スクエア横浜」のFacebookページ運営を行っている。

「正しく上手に伝えたい」を叶える仕事。

「紙だけでは伝えられない情報を伝える手段として、さまざまなメディアを組み合わせた情報発信を提案していきたい」という思いが、野毛印刷の「クロスメディア推進室」を設けたきっかけであり、動画制作を開始した出発点でもあった。

綿引はその動画制作を手がけるクロスメディア推進室、動画スタジオ「C.スクエア横浜」のスタッフとして2014年に途中入社。現在の仕事についてこう語る。「企業による動画広告は、以前は一部の大手企業が行うテレビCMだけだった。しかし、インターネットやスマートフォンの普及によってその間口は多くの企業に広がり、技術の進歩で誰でも簡単に動画を制作できるようになった。しかし一方で、動画づくりにノウハウが必要という点は今も昔も変わりません。私たちにはノウハウがある。そのノウハウを生かしながら、クライアントの『正しく上手に伝えたい』という要望を叶えるのが私たちの仕事です」。

動画制作の多能工的存在に。

綿引は長い間テレビやラジオの仕事に携わってきた。以前の勤務先では、テレビドラマ、大型音楽ライブ撮影、情報番組、報道番組、ドキュメンタリー、ラジオ番組制作などを経験してきた。綿引が小さめの衛星放送局に勤めていた際、最初はカメラマンとして入社し、編集やディレクター、構成作家的な仕事もするようになった。その放送局にはカメラマンが何人かいる中で全員がある程度のことをできるようになろうという方針があった。今日はカメラマン、明日は編集というようにシフトが組まれた。それら一つひとつの仕事で得たノウハウが、いまの業務に大きく生かされているという。印刷会社をはじめとした生産現場では一人で複数の技能を身につける作業者を「多能工」と呼んでいるが、綿引は、まさに動画制作の多能工としての活躍の場を、野毛印刷で見つけることになった。

勇気を持って反対意見がいえる「勇気係」。

以前手がけていたラジオのインタビュー番組で、綿引の印象に残っている話がある。さまざまな経営者をゲストに迎え対談をする番組に登場したある企業の社長の「うちの会社には勇気係がいる」という話。大きなプロジェクトなど関係者が一方向に向かって進める中で、経営者を含めメンバーが近視眼的になることがあるという。それを俯瞰して間違った方向に向いていないかをチェックし、場合によっては社長相手でも勇気をもって意見するのが「勇気係」の役目だと。その社長は「一人だけ反対意見をいうということは、水を差すようで周りからは煙たがられるが、一団となって一つの方向へ走るかもしれない場面だからこそ客観的に見る人が必要だ」と語った。綿引はこの考え方に感銘を受け、業務を進める上で参考にしている。

技術に頼らず内容を重視する。

綿引が仕事をするなかで大切にしていることは、「技術には頼らない」ということ。昨今、ドローンや4K・8Kカメラ、一眼レフカメラなどハード面での最新技術が注目され、クライアントからも「なんとなくドローンを使ってみたい」という声が出ることもある。しかし、肝心の「内容」が伴わなければ、それは単なる技術博覧会だ。技術だけに頼らず、「何をどのような構成で伝えるか」というソフト面を大切にしている。もちろん、多額な費用をかけて見た目を派手にすれば確かに目を惹くかもしれないが、観た人の心に残るだろうか、本当にクライアントが伝えたいと思ったことが伝わるだろうかと考える。綿引は常に内容を重視して、制作することを心がけている。

動画を通して社会に役立つ仕事を実感。

綿引が最近手がけた仕事に緊急地震速報の機械を紹介する動画があった。「実は2011年の東日本大震災の後、何度かボランティアで現地へ行っていた」と綿引はいう。「現地の人の声を聞いたり、生活にふれたりするなかで、感じることもたくさんあった」と。また、自身が所属していたボランティア団体が発信するUstream番組を担当。災害から何年か経ての現状を伝えた。自分が得意な分野の動画も社会に役立つことがあると実感した。防災への取組みに力を注ぐ野毛印刷では、防災関連の印刷物だけでなく、動画の仕事を受注することもある。防災士の資格も取得した綿引は、これらの仕事を通して「社会に役立つ仕事」への意識がより強くなったという。もちろん、当社で受けるすべての仕事が人や社会の役に立つ仕事であるので、結果的にはすべての仕事に全力を注ぐことになっていると承知している。

人間としての魅力を磨きたい。

もともと音楽番組の制作に憧れてカメラマンを目指した綿引は、以前大型音楽イベントの撮影に携わることもあったが、いま改めて、音楽に関する知識や経験を生かした動画制作に挑戦したいという。また、印刷会社の一員として、印刷物のライティングについても意欲を示す。構成作家という経験を生かしつつ、動画に関係のないライターとしてのスキルアップもめざしている。さらには、クリエイティブに携わるスタッフとして、広い知識や独特のセンス、視点、常に新しいことへの好奇心を持つことはもちろんだが、同時に「人間としての魅力を磨いていきたい」と語る。綿引姓の由来は、室町時代綿を生産して天皇に献上していたとか。柔らかくてしなやかで、風合い、肌触り、吸湿性のよいコットンのように、さらなる人間としての魅力アップを期待したい。

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