『グリーン購入』と『グリーン購入法』
『グリーン購入法』という法律があります。
正式には、『国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律』といいます。
「等」が多すぎてなんだか分からん!という声が聞こえてきそうですが、対象が幅広いため、このような表現になっているのでしょう。
簡単に言うと、物やサービスを買うときは環境配慮商品を選択してください、という義務や努力義務などが、国、自治体、企業や国民などの立場別に定められている法律です(こちらの記事でも紹介しているのであわせてご覧ください)。
従来「作り手」が推進してきた環境配慮を、「買い手」の立場からも推進する目的で、2000年に制定されました。
国や独立行政法人には『グリーン購入』を行う「義務」が、自治体には『グリーン購入』を行う「努力義務」が、そして企業や国民にはできる限り『グリーン購入』を行う「一般的責務」が定められています。
では、そもそも『グリーン購入』とは何なのでしょうか?
その目的は、「環境への負荷を減らして、持続可能な社会を構築すること」です。
SDGs(持続可能な開発目標)の主旨とも合いますよね。
ポイントは4つです。
②環境のことを考えて作られたものを選ぶ
③長く大切に使えるものを選ぶ
④使い終えたときにゴミが少なくて済むものを選ぶ
基本的な考え方はこの4つなのですが、具体的にどの商品を選べば良いのか少々分かりにくいですよね。
そこで、『グリーン購入法』の基本方針には重点的に『グリーン購入』を推進すべき品目と基準が定められていて、年度毎に見直されています。
この基準に従うことが、すなわち「グリーン購入法に適合する」ことになるのです。
「グリーン購入法適合」に惑わされず、目的を大切に
ところが、基本方針で定められた基準は、一般の方には分かりにくい上に選択肢をかなり狭めてしまうという少々残念な側面があります。
ルールを厳格にして取り組みの質が上がるのは悪いことではないのですが、結果的に買い物がしにくく、本来の目的の推進が阻害されるリスクがあるのです。
例えば、当社の専門分野である「印刷」には、以下の基準が定められています。
1.古紙パルプの配合率などの基準(総合評価値)を満たす用紙を使うこと
2.古紙としてリサイクルしやすい用紙、インキ、トナー等の資材を使うこと
3.印刷物に、リサイクルの適性を表示すること
4.印刷工程では、環境配慮を実施すること
いずれも大切な基準ですが、2と3は、比較的容易な基準です。
4については具体例が明示されていて、例えば当社が取得している「グリーンプリンティング認定工場」が該当します。
難関なのが1です。現行の基準に照らすと、現在市場で流通している印刷用紙には数えるほどしか選択肢がありません。
また、供給が不安定で必ずしも入手できない状況にあります。
こうした状況は、『グリーン購入』の推進を阻害しかねません。
こんな話をすると、「なんだ、供給されないのでは『グリーン購入』なんてできないじゃないか」と思われてしまいそうですが、二つの理由から必ずしもそうではありません。
一つは、前述した通り基本方針は年度毎に見直されており、次回の改定案を見る限り、評価基準が見直されて供給の問題はいくらか改善しそうだからです。
もう一つは、こと『グリーン購入法』に関しては、少なくとも企業や国民は「一般的責務」ですから、必ずしも基本方針に縛られなくても良いのではないか。むしろ、本来の目的である「環境への負荷を減らして、持続可能な社会を構築すること」を果たせるのであれば、柔軟に選択肢を広げても良いのではないか、と考えられるからです。
市場は常に変化し、環境配慮の製品やサービスも進化しています。
法律はこれを追いかける形になるため、どうしてもいくらか後手になる傾向があります。
『グリーン購入法』に「適合する」ことを目的化するのではなく、未来を見据えて柔軟に「活用する」。
そんな姿勢の方が、企業や国民にとっては『グリーン購入』を推進しやすいのではないでしょうか。
ちなみに、当社も加入している「グリーン購入ネットワーク」という全国組織のWEBサイトには「エコ商品ねっと」というページがあり、品目別にグリーン製品が紹介されています。
こうした情報も、『グリーン購入』の推進にぜひ役立てたいものです。
もちろん、「印刷」にまつわる『グリーン購入』であれば、当社までご相談ください。
お客さまのご要望に適った『グリーン購入』をご提案させていだきます。
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