公平・公正な輸入商品の目印、フェアトレード・ラベル

課題解決 / 業務改善

日用品や食料品の中には、主に気候が要因となって、国内では栽培や生産が出来ず、その多くを外国からの輸入に頼っている商品があります。日用品では、例えばコットン(木綿)。国産の綿花はほとんどありませんので、たいていは輸入品です。海外の工場で衣料品などの製品に加工してから輸入するケースが多いですね。食料品では、コーヒー、紅茶、バナナ。それから、チョコレートの原料になるカカオなど。これらも、ほとんどが輸入品です。2年ほど前に、小笠原産の「東京カカオ」がニュースになりましたが、ニュースになるくらい珍しいということです。

これらの多くを生産しているのは、開発途上国です。輸入された農産物を購入することで、こうした国々の生産者の暮らしが豊かになるのであれば、喜んで輸入品を買いたいところですが、あいにく、キレイなお話だけではない現実が存在します。

 

例えば、バナナ。

 

どこのスーパーにも安いバナナが並んでいて、私たちはその恩恵に与っています。栄養たっぷり、おなかを満たしてくれるバナナを安価に購入できることは、庶民としてはありがたいことです。現在日本で販売されているバナナは、ほぼ全てが輸入品で、しかもほとんどがフィリピン産です。フィリピンの農家さんに、感謝したいものです。

でも、はるばる海を越えてきたバナナが、どうしてこんなに安く買えるのだろう、とか、どうして傷んでいないのだろう、と思ったことはありませんか?

 

すごいなぁ、スーパーって。

 

もちろん、それも正解でしょう。安価で安定した品質の商品を提供できるように、輸入から販売までに関わる様々な企業の努力がなされた結果であることは間違いないと思うからです。でも、もしかしたらその「企業努力」の中には、現地の生産者にとって、深刻な不利益をもたらす取引条件が含まれているかもしれません。

 

「不利益」とは、例えばこういうことです。

 

安価のしわ寄せは、生産者の極端な低賃金へとつながりやすく、貧困を生みます。市場価格が下落したときはさらに深刻です。すると、親の収入が足りず、生産者の子どもは就学できずに働くことになります。児童労働です。また、品質の安定のためには多量の農薬が使用されます。多量の農薬は健康被害をもたらし、生産農家には障がいを持った子どもが生まれやすくなります。さらに、近隣の土壌や水源が汚染され、生物の多様性も失われ、環境破壊へとつながります。豊かな暮らしのために一生懸命働いているはずなのに、真逆のことが、起きてしまうのです。

 

私たちの日々の買い物が、実はそんな事態を招いているとしたら、あなたはどうしますか?

 

そんな心配をせずに、安心して買い物する方法があります。公平・公正の目印があるのです。それが、「フェアトレード・ラベル(国際フェアトレード認証ラベル)」です。

「フェアトレード」は、貿易のしくみをより公平・公正にすることにより、特に開発途上国の小規模生産者や労働者が、自らの力で貧困から脱却し、地域社会や環境を守りながら、サステナブルな世界の実現を目指す取組みです。

そして、「フェアトレード・ラベル(国際フェアトレード認証ラベル)」は、原料が生産されてから、輸出、輸入、加工、製造工程を経て認証製品として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた基準が守られていることを証明するラベルです。欧州ほぼ全域、北米、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど世界30カ国以上に展開されているラベル推進組織と、中南米・アフリカ・アジアの生産者ネットワーク組織が、構成メンバーとして認証ラベルの普及に努めています。日本では、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンさんが、構成メンバーとして認証を出されています。

国際フェアトレード基準では、経済・社会・環境それぞれに基準が設けられていて、特に、市場価格が大きく下がった場合でも最低買取価格が保証される点、生産地域の社会発展のための奨励金が生産者に保証されている点が特徴で、農薬の使用削減や適正使用、有機栽培の奨励なども含まれています。

 

さて、このフェアトレード・ラベルが付いた商品、どこで買えるのでしょうか?

 

日本国内で認証商品を取り扱う製造メーカーや販売元については、前述のフェアトレード・ラベル・ジャパンさんがリストを用意してくださっていますので、こちらをご覧ください。

このリストを見ると、大手スーパーさんや、大手コーヒーチェーンさんなど、実は意外と身近にもフェアトレード認証製品を販売されている企業さんがあることが分かります。具体的な商品は各企業さんのWebサイトで確認してみてください。かく言う私も、このリストを活用して、コーヒー豆やチョコレートはフェアトレード製品を購入しています。

 

誤解しないでいただきたいのですが、フェアトレード・ラベルが付いていない輸入品は全て問題がある、ということではありません。認証を受けていなくても、公平・公正な商品は存在しており、自主的にフェアトレード商品として販売されている例もあります。ただし、基準が見えにくく、良し悪しの判断がつきにくいのです。その点、私たちが買い物するときの判断材料としては、ラベルが付いていることの安心感はたいへん大きいと言えるでしょう。

 

なお、フェアトレードは、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールの多くに貢献します。貧困、健康、教育、働きがい、平等、環境…などなど。つまり、フェアトレード商品を選択して買うことは、私たちひとりひとりがSDGsに参加するための有効な手段にもなるのです。

日常の買い物の選択ひとつで、身近に国際協力が出来てしまう。しかも、SGDsにも参加出来てしまう。そんなフェアトレード商品を、ぜひ探して、購入してみてください。

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