誕生から40年「付箋(ポスト・イット)」が進化しています

コラム

何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力や才能を指す言葉に「セレンディピティ(serendipity)」という言葉があります。
英国の政治家・作家のフォレス・ウォルポールが生み出した造語で、「セレンディップの 3人の王子」という童話にちなんだものです。思いがけないものを運よく発見する能力が、主人公にあったことから用いた言葉といわれています。

誕生秘話

その「セレンディピティ」の典型的な例とされているのが「ポスト・イット」です。ご存知のように最初に開発された糊付の「付箋」ですが、開発したのはアメリカの化学メーカー 3M社。
同社の研究員が強力な接着剤を開発中、たまたま非常に弱い接着剤をつくりだしてしまい、1974(昭和 49)年に別の研究員が、その弱い接着剤を本の栞に応用できないかと思いついた。それが貼って剥がしてまた貼れる「ポスト・イット」の開発秘話。
語源は、「Post(公示する)」に 目的語の「It 」をつけたものです。

付箋とは

現在はこの「ポスト・イット」=「付箋」または「付箋紙」で認知されていますが、日本語としての「付箋」にはもともと糊は付いていませんでした。「箋」とは、「一筆箋」に代表されるような覚え書き用の紙片のこと。ルーツを辿ると仏教で使用する巻子本かんすぼん(巻物)の軸や、宗教上の 教えを記した経典きょうてんを包む帙簀ちすと呼ばれるカバーのような ものに結びつけた木や竹、厚手の和紙でできた札を「箋」 と呼んでいたと言われています。メモ書きができる栞が 「付箋」の役目であり、「ポスト・イット」が開発されて からは、それに貼って剥がせる糊がついたということに なります。

現在のポストイット

さて、その「付箋」も「ポスト・イット」開発から約40年、いまでは筆記用具やノートなどとともに、欠かせない文房具になりました。
日本に最初に輸入された 7.5×7.5 ㎜の正方形の「付箋」は当初受け入れられませんでしたが、最近は会議などのメモ書きとして欠かせないものになりました。もちろん基本は小さめの長方形ですが、今では大きさも、色も、素材もバラエティに富み、かわいらしい「付箋」を集めて使う「付箋マニア」や「付箋女子」も増殖中。
使い勝手のよさで人気の矢印切り離し型をはじめ、ロールタイプや、リストバンド型も人気。絆創膏型、お寿司型、ポテトチップス型、香り付きなど、思わずクスッと笑えるデザインも含めユニークな商品もいろいろ販売されています。勉強や仕事を楽しくする「付箋」の進化はさらに続きそうです。

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