印刷会社に入社してから知った、「校正に赤字を入れる」という作業。
実際に自分がやってみると、業界のルールがあったりと、知識やコツが必要であることが分かりました。
皆さんの中にも、「赤字を入れたけど、思ったように意図が伝わらなかった」という経験をされた方はいませんか?
今回は、「伝わる赤字の入れ方」をご紹介します。基本中の基本の話なので、「校正記号が分からない」といった方もぜひご覧ください。
伝わる赤字の心得
その1:丁寧な文字で簡潔な指示を!
赤字を入れるうえで最も大切なのは、丁寧な文字と簡潔な指示です。
基本的なことですが、乱雑な文字や長すぎる説明文は、読む側に負担をかけてしまいます。字が読めない場合は、確認作業が発生して余計な時間がかかってしまうことも。
「初めて見る人でも理解できるか?」という視点で提出前に見直してみると、より伝わりやすい赤字になります。
その2:提出するときは細部まで確認!
手書きの赤字をスキャンして送る場合は、文字切れや向きのズレに注意しましょう。
よくあるミスが、端に書いた赤字がスキャン時に切れてしまうこと。
データを送る前に、「すべての赤字が写っているか」を必ず確認することが大切です。
また、複数ページの校正を送る場合は、向きを揃えると、受け取る相手がスムーズに確認できます。
こうした小さな気配りが、円滑なやり取りや間違いのない修正につながります。
これさえ覚えれば何とかなる!校正記号3選
続いて、校正記号をご紹介します。
校正記号を使いこなすには慣れが必要ですが、「これだけ知っておけば何とかなる!」という、基本の3つをご紹介します。
その1:字の修正
文字を修正をする際は、修正箇所がひと目で分かるように記します。
赤ペンで指示するのが基本ですが、再校や三校などで後から追記する場合は、青ペンなど別の色を使って区別しやすくします。
例えば、1文字だけ直すときは、斜線を引いたり丸で囲んだりして、修正を指示します。

2文字以上の場合は、修正したい文字に横線を引いて修正指示を入れます。

その2:字の消去
文字を削除するときは、「トル」と指示します。
しかし、ただ「トル」とだけ書くと、削除後にスペースを詰めるのか、それとも空けるのかが分かりません。
そこで必要なのが、「取ってどうするのか」という指示です。印刷業界では次のように記します。
・消去して詰める場合→「トルツメ」
・消去して詰めない(空けたままにする)場合→「トルアキ」「トルママ」
それぞれ以下のように修正されます。

消去指示ひとつでも、仕上がりが大きく変わるので注意が必要です。
その3:改行
改行の指示は、なかなか言葉では伝えづらいもの。
そんなときに便利なのが、改行の校正記号です。

改行を取り消して続ける場合は、こちらの校正記号を使います。

正直、校正記号を使わなくても相手に伝わる指示が書ければ十分です。
ですが、校正記号が使えたらやっぱりかっこいい……ですよね!
簡単なものからマスターして使っていきましょう。
制作側が困ってしまう赤字の例
中には制作側が困ってしまう赤字もあります。例えば、「この字を大きく」や「この画像を小さく」といった曖昧な指示です。
なぜ大きくしたいのか、「可読性を上げたい」「強調したい」など、理由を添えると意図が正確に伝わります。
理由が分かれば、制作側から「それなら太字にした方が良いかも」など、より適した提案ができる場合もあります。「指示+理由」をセットで伝えることで、より良い成果物に近づけます。
赤入れができる便利なデジタルツール
最近では、PDF上で赤字を入れられるツールも多く登場しています。
Adobe Acrobatの「注釈」機能や、共有リンクでの校正コメント機能を使えば、紙でのやり取りが難しい場合でもスムーズに指示が伝えられます。
手書き派・デジタル派、いずれにせよ、「見やすさ」と「伝わりやすさ」を意識することが大切です。
【まとめ】赤字だけで伝わる校正を目指して
校正を戻すときの理想は、「赤字が入った校正紙を渡すだけで、修正内容がすべて伝わることだ」と先輩に教わりました。
まだまだ赤字に加えて口頭で説明することも多いですが、いずれは赤字だけで伝えられるよう精進していきたいと思います。
校正の赤入れは、制作者との信頼関係を深める大切なコミュニケーションであり、より良い印刷物を作る大事な作業です。
印刷物の校正に携わる方は、ぜひ今回の内容を参考にしてただけると幸いです。
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