この度「単行本と文庫本の違いについて」とのお題をいただきました。
「え?単行本て新刊で出る本で、文庫は単行本が出た後何年かしたら手に取りやすいよう廉価で出る本だよね?」
なんて認識でした。わざわざお題が出るくらいだからなんか違っているの??と思い、即行ネットで調べてみたら…
文庫本とは、単行本が出版されてからある程度時期を経て、単行本より一回り小さいサイズで安く売られるもののことを言います。
<http://www.pluto-dm.com/book/what02.htmlより引用>
……ですよねー。(話が終わってしまった……)
と言っても当社は印刷会社なので、印刷会社的視点で、少し違いを考えてみようと思います。
「単行本」と「文庫本」の違い
まず一番違うのは、本の「大きさ」ですよね。
単行本は「四六判」というサイズなのに対して、文庫本は「A6判」が主流です。
「四六判って?」と思った方は、ぜひこちらの記事をお読みください。〈関連記事:本に関する印刷用語〉
本の広告などに、よく「四六判サイズ」という表記もあるので、「字面は見たことがある!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、この「四六判サイズ」という大きさ・表記の仕方は、単行本独特のもののように思えます。
次に大きく違う部分は、「製本の方法」です。
単行本のようなハードカバーの製本を「上製本」といい、文庫本のような製本方法を「並製本」といいます。
上製本はイメージの通り、表紙が固く作られており、表紙の大きさが本文より一回り大きくなっています。
一方で並製本は、表紙と本文の大きさが同じで、表紙の用紙も固くなく、柔らかいものになっています。
そのため、上製本の方が高級感があり、耐久性にも優れています。その分、作るのに費用がかかってしまうのは、店頭の本の価格を見てもお分かりになると思います。
本当に簡単ですが、印刷会社的視点で「単行本」と「文庫本」の違いを説明させていただきました!細部をもっと見ていくと、いろいろな違いが見えてきます。
それはまた、別の機会にお話できればと思います。
「単行本」と「文庫本」にまつわるアレコレ
話は変わりますが、皆さま、読書はお好きですか?
今でこそスマホがあればゲームやニュース、SNSと通勤電車内はいろいろ時間がつぶせます。電車の中で本を読む人も少なくなったといわれています。町中の小さな本屋さんはどんどんなくなっています。
でも、ネット通販で本を買う人はいるし、コロナ禍での自粛期間、ホームステイ、テレワーク、あちこちのお店がお休みする中で本屋さんは開いていてもOKで(店頭に立つ方々はお気持ち複雑だったかと思いますが)、家にいる時間をどうにかするのに活用されたのか、本の売上も好調だったようです。[参考:https://www.google.com/amp/s/www.businessinsider.jp/amp/post-209468]
家でゆっくりするなら単行本の方が持ちやすくて読みやすいですよね。ハードカバーなら尚更。文庫本より早く出版されるなら、誰よりも先に読みたい!という場合もこちらになるでしょう。
でも通勤に持ち歩くにはちょっと重いし、文庫本の方がお値段もちょっとお安く、広げてもそんなにまわりには邪魔にならない。あと雑貨屋さん等で売られている本用のカバーは大体文庫本サイズ。(サイズがなければ、『はしっこペーパー』で自分で作るのもアリ!)
文庫用カバーといえば、弊社地元横浜の大手書店有隣堂さんのものはカラフルで自分で選べるので人気です。
「単行本で出た後しばらくしたら文庫本で出る」と書きましたが(単行本しか出ない場合もあるかと思いますが)、お値段的に手を出しやすいようにということなのか、有名な作家さんだといきなり文庫で出版されることもあります。東野圭吾とか赤川次郎とか。
あ、まんま「いきなり文庫」でwikipediaに説明が載っていました。お安い電子書籍に対抗する意味合いもあるらしい…。
若い人向けのいわゆるラノベ、ライトノベルも「いきなり文庫」での出版がメインですよね。
…こんな風に書いていると「文庫本推し」のようですが、最近は夕方とか曇りの時とか、読みづらい時もあり、あの、なんというか、ろ、ろ、●眼なんてことを実感することもあります。
確か岩波文庫が文庫だけどサイズが大きくて(文庫がA6判ならこちらはB6判)文字も大きい本出してたよなーと思ったのですが(岩波文庫ワイド版)、調べてみたら2015年に出版終了となっていました。がっかり…。
さて、単行本と文庫本、どちらで本を読みますか?
たまにはスマホをいじらず、紙の本でゆっくり読書してみてはいかがでしょう。