印刷会社の地図制作って?DTP以前の仕事内容と今デザインに求められているもの

コラム

印刷会社の地図制作

今から220年以上も前の1800(寛政12)年4月19日、伊能いのうただたかが日本地図を完成させるために蝦夷地えぞち(北海道)に向けて出発しました。
日本の歴史を大きく変えたこの日は「地図の日」、あるいは「最初の一歩の日」として制定されています。

54歳から約17年間、伊能が測量のために歩いた距離が日本全国約4万km。
完成を待たずに死去しますが、弟子たちによって1821(文政4)年に日本最初の実測地図「大日本沿海輿地よち全図」が完成しました。

地図は地球の表面の一部、あるいは全体を縮小して文字や記号などを用いて表示したもので、文字通り「地の図」。

地図の歴史は、測量技術→印刷→航空写真→デジタル化など、技術の進歩とともに進化しています。

地図の制作は専門の出版社や制作会社だけでなく、印刷会社においても必要不可欠。
多種多様な印刷物に地図が登場しますが、当然大きさも目的もさまざまで、地図に要求されるデザインは千差万別。

ここでは意外と奥が深い、印刷会社の地図制作について紹介いたします。

印刷会社の地図制作

線で描くことが多い地図ですが、コンピュータ以前、DTPがなかった時代の制作はもちろん版下台紙に手描きでした。

使われていたのは、ペン先が烏のくちばしに似た烏口からすぐちという特殊ペン。
直線用のほかに曲線を描く回転式のもの、ペン先が2つあって平行線が描ける双頭回転式烏口も使用されていました。

烏口

雲形定規や、中に鉛が入っていて思いどおりの曲線が描ける自由曲線定規も必需品でした。

また、地図づくりで重要な作業は、実は描く前の編集です。
表示したい地図の範囲、目的、スペースに合わせて変形や省略、情報の取捨選択などを検討。
バランスを保ちながら、見やすく理解しやすい地図を描くための分析や構成の役割を編集作業が担っています。

地図の見せ方については、お客さまの要望に合わせたうえで、実際に見る人・使う人の目線で作りこむことが大事で、線の太さやタッチ・テイスト・色合いなどさまざまな配慮が必要です。

正確さが第一なのか、シンプルさが最優先なのか、イラストマップの柔らかさがほしいのか、三次元表現にしたいのか…など、地図には幅広い表現の可能性があります。

鉄道やバスの路線図については、文字情報の伝え方・線の太さ・路線ごとの色分け・重なる部分の表現方法など、きめ細かい工夫が必要です。

そんな中、近年強く叫ばれているのが「MUD(メディア・ユニバーサル・デザイン)」を意識した対応。
さまざまな場面で、高齢者や視覚障がい者、色覚障がい者、外国人などに配慮した視認性の高いデザインが要求されています。

野毛印刷と地図制作

当社は印刷会社のため、“地図だけの制作”というのは行っていません。

ですが、先ほど触れたように「MUD」を取り入れたデザインはあらゆる印刷物に求められており、実際に印刷物の中に地図を差し込む場合は、MUDを元にした色づかいやデザインを行っています。

当社にはMUDの資格を持ったデザイナーが複数名在籍しており、制作経験も豊富です。

▼MUDについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

MUDについての基礎知識(色覚編)

また、地図印刷にオススメな用紙が「ストーンペーパー」
ストーンペーパーは水に浸けても破れないため、雨や雪の日など野外で地図を広げる際も安心です。

当社のヒット商品『災害対応マニュアル』でもストーンペーパーを採用しており、耐久性は確認済み。

詳しくはこちらの記事で紹介しているので、ぜひ読んでみてください。

▼【地図印刷にピッタリの用紙をご紹介!】4月19日「地図の日」にちなんで

【地図印刷にピッタリの用紙をご紹介!】4月19日「地図の日」にちなんで

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いかがでしょうか?

今はDTPが普及し、地図の作り方もだいぶ変わりましたが、昔は手作業で一本一本線を引いていました。

作り方は変わっても、今も地図制作はデザインの中で難しいもののひとつ。
印刷した地図が間違っていたらそれを読んだ人に迷惑がかかってしまうため、慎重に校正をする箇所でもあります。

今回地図制作の歴史を振り返り、時代の変化を感じるとともに、変わらない部分を再認識することができました。

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