【伝わる映像への挑戦】プロが必死に消す「引っかかり」とは?

クリエイティブ / 動画

映像のプロは「こだわり」が強い?

こんにちは。映像ディレクターのワタリーです。
皆さんは、外部の会社に映像制作を依頼した際、撮影や編集の工程で「こだわりが強いな」と感じたことはありませんか?

例えば、撮影現場であまり気にならないであろうセリフのイントネーションや、誰も気にしないであろう出演者の動きや表情の不自然さを理由に、リテイク(撮り直し)になることがあります。
また、お客さまからは直接見えにくい編集工程やナレーション収録時にも、細かな修正や調整が繰り返されます。

なぜ、映像のプロは「あまり気にならないこと」「誰も気にしないであろうこと」に多くの時間を費やすのでしょうか。

それは、「伝わる映像」をつくるためのプロとしての工夫なのです。

「鼻毛が出ている人」の話は集中できない!

さて、ここで少し想像してみてください。
あなたが誰かの話に集中して耳を傾けている時、ふと相手の「飛び出した鼻毛」を見つけてしまったら…?おそらく、その瞬間に話の内容は頭に入ってこなくなり、意識は鼻毛に釘付けになってしまうのではないでしょうか。

映像の世界でも、これとまったく同じ現象が起こります。

例えば、先ほど挙げた出演者の不自然なイントネーションや動き・表情は、視聴者の集中力を削ぐ要因になってしまいます。
そのほかにも、ジャンプカットやイマジナリーライン越えといった不自然な画面の切り替わりや、映像のシーンが切り替わるたびに背景の環境音(車のエンジン音・鳥のさえずりなど)、不自然に変化するBGMのテンポなども、視聴者の集中力を削ぐ要因の一つとなります。

脳の「補正機能」と「無意識下の情報処理」

実は、これらは科学的・心理学的に説明できる現象です。
人間の脳は、無意識のうちにさまざまな「補正」を行っており、明確な「違和感」を覚えるケースはむしろ少数です。

しかし、脳が補正しきれない情報や、補正しながらも「何かおかしい」という感覚は、意識には上がらなくても、無意識下で処理されています。心理学や脳科学の研究でも、意識には上らない刺激が行動や感情に影響を与えることが明らかにされています。

つまり、映像や音声に生じた微細なズレや不調和は、視聴者が明確に「変だ」と感じられなくても、無意識下で集中力の阻害や不快感として心理的な影響を与え、結果として映像への没入感を損なってしまうのです。

「引っかかり」は無意識に影響するノイズ

このような要素は、俗に「引っかかり」とも言われます。
「引っかかり」は、視聴者が映像に集中したり、感情移入したりするのを妨げる、見過ごされがちな要素です。たとえその違和感が小さくても、それがいくつも重なると、メッセージの伝達に大きな影響を及ぼします。

気づかれにくいけれど、確かに存在するノイズ。
私たちは、映像で伝えたいことを視聴者に誤解なくわかりやすく届けるため、このノイズを限りなくゼロに近づける努力をしています

なお、「引っかかり」については、こちらのコラムでも紹介しています。

ディレクター直伝!動画で上手く話してるように見せるコツとは!?

細部へのこだわりが「伝わるコンテンツ」を生み出す

映像のプロが細部にこだわるのは、決して自己満足や完璧主義のためではありません。伝えたいメッセージを正しく視聴者に届け、その映像が本来持つ力を最大限に引き出すためのこだわりです。

どれほど素晴らしい企画やメッセージであっても、「引っかかり」によって視聴者の集中力が削がれてしまっては、その価値は半減してしまいます。「そんな細かいことまで?」と思われるような細かな調整の積み重ねが、最終的に「伝わる映像」を生み出すのです。

こうした「見えない部分への徹底したこだわり」は、映像制作だけにとどまりません。当社が手がける印刷工程はもちろん、Webサイトや印刷物のデザインにも共通する姿勢です。
細部に潜む「引っかかり」を排除し、受け取る人がストレスなくメッセージを理解できるよう磨き上げる。これが、私たち野毛印刷の全てのサービスに共通する「伝える」ためのプロとしてのこだわりです。

当社のサービスをご検討の際は、ぜひこの「伝える」ことへのこだわりにご期待ください。
一つひとつのこだわりが、あなたのメッセージをより力強く、確実に届けるための大切な要素となるはずです。

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ワタリー・ヤスレフスキー

イマ風に言えばテレビ番組の「技術さん」出身。

在京民放局でのカメラアシスタントで経験を積み、主に報道番組やドキュメンタリーの撮影・編集・構成作家・ディレクターとして活動。
野毛印刷に転職した現在も同様の業務を行う。

コロナ禍でニーズが急増したライブ配信業務では、テレビ局勤務時代の長時間討論番組の経験を生かしてスイッチャーを担当。

昔の血がさわぎ、消防車を見るとカメラをかついで追いかける。
が、最近は息切れが激しい。

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