インキとインクの違いとは?印刷用語はインキ、筆記用具はインク?

コラム

インクの画像

「インキ」と「インク」の違いはあるのか

「インキ」と「インク」。
どちらも同じものをさす言葉ですが、使われる用途やシーンによって呼び方が変わるおもしろい言葉です。

「インキ」と「インク」はなぜ分けられるのか、また、それにはきちんとした定義があるのか、といったことはほとんど知られていません。

印刷用語として使われるのは「インキ」ですが、同じ印刷でもデジタル印刷やパソコンのプリンター用に使われるのは「インク」。
筆記用具で「インキ」と呼ぶ会社もあります。「マジックインキ」という名称もありますよね。

今回はなぜ呼び方が分かれているのかを考察していこうと思います。

「インク」の語源と意味

貝殻の画像

まずは「インク」の語源についてです。

「インク」は英語で「Ink」ですが、もともとは古いフランス語の「Enque」で「ものを書く液体」
これをたどるとギリシャ語の「Egkauston」 に行きつくといわれ、地中海に生息する巻貝からとった紫色の染料を意味していると言われています。

さらに「インク」の歴史をたどると、古代、石の表面に絵や文字を描くために、天然の植物や鉱物から、さまざまな色の「インク」が作り出されていることがわかりました。

「インキ」の歴史から「インク」との違いを考察

次に、日本の歴史の観点で見てみると、中国から伝わった日本の書道は筆と墨の文化だったため、絵の具として顔料は使われたものの、文字を書くための「インク」として使われたのはかなり遅く、印刷用として伝来した「インキ」が先に使用されたそう。

江戸時代末期の1848(嘉永元)年。日本の活版印刷の祖と呼ばれる本木昌造もとき しょうぞうが、オランダ船が積んできた西洋の活版機材をもとに「活字版摺立所」を設立したのが、日本の印刷の起源とされています。
オランダ語で「インク」は「Inkt」で、その発音は「インキ」の方が近かったのではないかと推測できます。

ちなみに、「Orgel」が「オルゴール」、「Kok」が「コック」、「Ontembaar」が「お転婆」に、「Zondag」から生まれた博多どんたくの「ドンタク」など、オランダから借用した言葉はたくさんあり、「インキ」もオランダ語の発音が元だったと考えられます

オランダ語ではありませんが、「トラック」と「トロッコ」についておもしろい話があります。
日本でトラックが初めて導入された1883(明治20)年、横浜近代水道建設時。この時レールを敷いて走らせたのが「Truck(トラック)」でしたが、なまった呼び名が「トロッコ」だったということで、後にレールを敷いて走らせる「トロッコ」と、貨物自動車として使われる「トラック」にわかれたと言われています。

つまり、言葉が導入された時代によって、発音とそれに対応する対象物が異なったというのが「インキ」と「インク」の違いのように思えます。
これは個人的な推測ですが、いかがでしょうか?

どちらの言い方も間違いではありませんが、われわれ印刷業界に携わる身としては、やはり「インキ」の方がしっくりきますね。

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印刷業界で使われる「インキ」にはさまざまな種類があり、とても魅力的です。
印刷の面白さを感じられる記事を最後にご紹介します。
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