「SDGs」という言葉をご存知でしょうか。
「えすでぃーじーず」と読むのが一般的です。2015年に国連総会が採択した”Sustainable Development Goals”という目標の略で、日本語では『持続可能な開発目標』と訳されます。2030年に向けて世界が取り組むべき17の目標と、その達成基準である169のターゲットが定められています。17の目標の中には、「貧困を終わらせる」「飢餓を終わらせる」「健康的な生活を確保する」「公平な質の高い教育を提供する」など、普遍的かつ重要なテーマが取り上げられており、「誰一人取り残さない」という強い決意が述べられています。
へぇ、知らなかった!という方も、今はまだ恥ずかしがることはありません。
日本国内でのSDGsの認知度は、今年2018年2月の電通の調査によると、わずか14.8%だったそうですから。
ただし、そろそろ知っておいた方が良いだろうと思います。なにしろ、いまやSDGsは学校の授業でも教えられています。このためか、電通の調査結果では若い世代の認知度が健闘おり、逆に、40代~60代は伸び悩んでいます。社会の第一線にいるはずのオトナは、意外と取り残されているのが現実です。
ではなぜ、SDGsを知る必要があるのでしょうか。そしてなぜ、取り組む必要があるのでしょうか。
国連で決めたってことは、政府が取り組むことなんじゃないの?国民一人ひとりには関係ないでしょう?という問いが聞こえてきそうです。確かに、国民一人ひとりが取り組みの責任を問われるようなことはありませんが、関係はあります。また、企業は大きく関係します。なぜなら、SDGsについて国連は「全てのステークホルダー(利害関係者)の参画」を期待しており、すなわち、社会的な責任として、企業はSDGsへの参画を要求されているからです。
そんなことは大企業がやればいいじゃないか!
という声も聞こえてきそうですが、規模の大小は関係ありません。大きな企業は大きいなりに、中小の企業は中小なりに取り組む。これが、SDGsの特徴なのです。参画しないからといって罰則はありませんが、うちの会社はそんなものには取り組まない!と宣言することは、すなわち、社会の方向性に背を向けます!と宣言するに等しいため、あまり賢明な判断とは思えません。むしろ私は、SDGsは中小企業にとってこそチャンスだと感じています。なぜなら、自社が取り組んできた慎ましい事業が、国連の言葉、すなわち世界の共通言語に置き換えられ、しかも、名だたる大企業と同じ土俵に立って、その価値を語ることができるからです。どうです?すごいチャンスだと思いませんか?
でも、うちの会社は「飢餓」とか「貧困」とか関係ないよ!
なるほど、ごもっともです。でも、企業というものはもともと社会に貢献するためにあるので、17の目標のいずれかはたいていの企業があてはまります。全部に関わる必要はありません。自社が特に貢献できる目標(ポジティブ・インパクト)は何か、また、自社が悪影響を及ぼしやすい目標(ネガティブ・インパクト)は何か、まずは17の中から探してみることから始めましょう。
すると、あったあった!うちは目標○番と△番に関係している。すなわち、SDGsの○番と△番に取り組んでいます!という宣言ができます。
ただし、問題はその先です。
今、どの目標に関係しているかが大切なのではありません。2030年に向けて、あなたの会社はどの目標にどれだけの貢献をしますか?という問いに対して宣言し、実行していくことが大切なのです。そのためには、目標を明確にし、手段と道筋を明確にし、進捗管理し、成果を出し、改善すること。すなわちPDCAをしっかり回していくことが、SDGsでも求められます。
でもそれって、会社の経営では当たり前に行っていることじゃない?
その通りです。ですから、SDGsの取り組みを進めるポイントは、自社の経営の中にSDGsを推進剤として組み込んで、2030年に向けてしっかり舵取りしていきましょうね!ということなのです。その先には、世界と私たちの、幸せな未来が待っているはずです。