東京2020オリンピック・パラリンピックで、世界中のたくさんの国旗を目にする機会があった昨年、国旗に使われている星の多さを改めて実感しました。
星をモチーフとした国旗を掲げる国は70か国以上。
思想や宗教を超えて、星の形に強い象徴性があるようです。
よく考えてみると、私たちは当たり前のように星を「★」と表現します。
実際は球体の星をなぜ多角形の形で表現するようになったのでしょうか?
今回は、そんな素朴な疑問を解明してみようと思います。
星形のはじまり
当然ですが私たちは、遠くにある星をほとんど光の点にしか見ることができません。
人の目の瞳孔のまわりにある「虹彩」は、カメラのレンズの絞りのような働きをしています。
その虹彩はギザギザになっていて、光を見ると放射状に見えてしまう。
つまり、星の尖った形は目のしくみに起因しているようです。
ではなぜ「★」の形になったのかは、古代のエジプトにおいて、空を表すために天井に刻んだヒトデの形がはじまりとされています。
海に面したエジプトでは、身近な存在だったヒトデを象形文字(ヒエログリフ)の一つとして使っていましたが、それがいつの間にか星の意味を持つようになったようです。
ヒトデは英語で「starfish(星の魚)」、「sea star(海の星)」、フランス語で「etoile de mer(海の星)」、ドイツ語で「seesterne(海の星)」。
このように、世界中で星にちなんだ名前で呼ばれています。
ちなみに日本では、「人の手の形」から漁師語で「ヒトデ」と呼ばれました。
しかし、日本語独特の当て字により、漢字で「海星」の表記も存在するようになりました。
印刷会社的視点で考える星形
当社は印刷会社なので、最後は印刷会社的視点で星の形について考えてみようと思います。
印刷会社としては、文字組版のなかの「約物」という、記号類の使用が文書編集などの際に行われますが、星印もさまざまな場面で使用されています。
▼ご存知でしたか?印刷の世界での呼び名「約物」
基本的には白星「☆」と黒星「★」ですが、同様によく使用されるのが、中心から放射線が6本出ている「⁎」。
一般的な名称は「アスタリスク(asterisk)」で、原語の意味は古代ギリシャ語のラテン語で「小さい星」。
日本では「星号」、「星印」とも呼ばれ、脚注や注釈などによく使われています。
アスタリスクに似ていますが、「⚹」は、アスタリスクの縦棒が横棒に変わった形の「スターマーク」。
電話機やスマホ電話のボタンに使われている記号です。
最近はアスタリスクへの変更が進んでいます。
アスタリスクといえば、最近は放射線8本の「✳」が登場していて、SNSの絵文字などで頻繁に使われているようです。
いかがでしたでしょうか?
ふだん使っている星の形も、由来を調べてみると面白いですね。
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