禁じ手とは
「禁じ手」とは、一般的に使ってはならないとされる手段や方法などの禁止事項を指します。
将棋の「二歩」や野球における故意のデッドボールなど、スポーツをはじめとした競技では何らかの「禁じ手」が設定されているケースがあります。
陸上競技の棒高跳びでは、19世紀末にイギリスで流行った跳び方が禁じ手になりました。立てた棒に素早くよじ登ってバーを越える「木登り法」という跳び方で、アクロバット的な技以外の何ものでもないと批判され、禁止になったそうです。
新聞のレイアウトにおける禁じ手
新聞や雑誌など、可読性を基本とした印刷物には「マルチカラム(段組み)」が用いられます。
普段、印刷物のレイアウト作業に携わっているDTP担当者でも忘れがちな、新聞のレイアウトにおける禁じ手をユニークなネーミングとともにご紹介します。
「腹切り」「煙突」
よく知られているのは「腹切り」 です。
紙面の途中で段と段の境が右から左まで通ってしまうと、紙面が上下に分かれ、一体感がなくなるということで禁じ手とされています。
見出しの置き方にもルールがあり、「同じ段数で見出しを紙面に並べてはいけない」「横組みの見出しを並列してはいけない」などとともに、「煙突」という「禁じ手」があります。これは「見出しを上下縦一列に揃えてはいけない」というもの。
「腹切り」や「煙突」は、学校の新聞部に入ると必ず上級生が新入部員に得意げに教えると言われている禁じ手のひとつです。
「両流れ」「泣き別れ」
本文に関しても、上の段から2か所に記事が流れる「両流れ」も誤読を誘うということで禁止されています。
上の段に2つの記事があり、ともに句点で終わっている場合、どちらが下の段に続くのかわからない「泣き別れ」も読み手を迷わせることからタブーとされています。
「飛び降り」「しりもち」
他にも、記事が下の段に移る際、その行より左下にいくことを「飛び降り」と呼び、これも禁じ手です。
最下段に2段以上の写真や見出しを配置するのも「しりもち」の名称で好ましくないとされています。
時代の変化と禁じ手
ニュースをスマホでチェックする現代では、新聞のレイアウトの禁じ手も読み手の立場に立ってみるとそれほど問題ではなく、こだわりは昔より薄れてきたように思います。
しかし、MUD(メディアユニバーサルデザイン)の観点からも、文字を大きくするなど、読者への配慮は進んでいます。可読性を重視することがレイアウトの基本であることを踏まえていれば、あまり禁じ手にこだわる必要はないのかもしれません。
当社では、MUDに配慮した印刷物のデザインを行っています。ご相談・御見積り依頼等は、こちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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