以前、航空計器を扱う企業の業務案内を作成した際、「校正」と いう業務の紹介ページがありました。
こちらは同じ「校正」でも、 英語で「Calibration」。
計測器の値と、入力または測定の対象と なる値との関係を比較、補正する作業が「校正」であることを知りました。
間違いが許されない重要な作業であることはわかりましたが、印刷の工程においての「校正」も同様に重要な作業であることは誰もが認識しているところ。今回はそんな印刷の「校正」について、歴史を紐解いてみました。
『校正』の歴史
印刷工程における「校正」は英語で「Proofreading」。
印刷物などの字句や内容、体裁、色彩の誤りや不具合を、原稿や原本と 比べ合わせて正す作業で、活版印刷発明後は印刷工房で通常工房主が携わっていましたが、後に専門の校正者が雇われるように なりました。
校正記号の歴史
「校正」の際に必要な印刷校正記号は、幕末、活版技術の長崎伝来とともに輸入され、1934年(昭和9)年に、日本印刷学会により標準的な校正記号が決められました。これをもとに1965年(昭和40)年にJIS (日本工業規格)として「印刷校正記号」が制定されました。この規格が出版・印刷の標準としてずっと活用されてきましたが、近年コンピュータの進化によりDTPが普及したことから、2007(平成 19)年に改正されました。
大要は旧規格と変わりませんが、使い方の説明や、許容できる使い方を大幅に追加。今まで規格にはなくても、現場でなんとなく通用している記号は、杓子定規に禁止すると混乱するため、間違えることがなさそうな記号は許容として採用されるようになりました。
校正は大切な作業
孔子の言葉「後生畏るべし」をもじって、古くから「校正畏るべ し」という警句が語られてきました。これは、明治時代のジャーナ リストで劇作家、歌舞伎座の創設者でもある福地桜痴 (源一郎)が、1894(明治27)年の著書「懐往事談」の中で校正がいかに 大切であるか戒めた語として有名です。
その言葉通り、地味な作業ではありますが、私たちも「校正」の大切さを肝に命じ、当社の事業コンセプトである「たいせつなものを もっとたいせつに」 の精神で、努めていきたいと考えています。