「憲法記念日」と「こどもの日」に挟まれた5月4日は「みどりの日」。
まだまだ認知度は低いものの、5月にふさわしい祝日としてようやく定着してきたようです。
5月の美しい新緑を目にすると豊かな気持ちになれますし、見渡す限り緑に覆われる「万緑」もこの季節にふさわしい言葉です。
国民で祝い感謝する記念日に選ばれる色名「緑」については、色彩を扱う仕事に携わる者としては見直してみる必要あり。
ということで、光の三原色の一つ「緑」について改めて考察してみようと思います。
色名「緑」の由来
昔から緑は、青に従属する色のように思われがちな色でした。
古代の日本では赤・青・白・黒の4色しか分類されておらず、緑色に対しても「青」と表現されていました。
その名残は、「青信号」「青虫」「青海苔」「青りんご」などの表現に今も残っています。
「みどり」はもともと色彩を示す言葉ではなく、「新芽」や「若芽」を表し、若く瑞々しい状態を示す言葉。
生後3歳くらいまでの幼子を指す「みどりご」の呼び方も残っています。
英語の「グリーン〈green〉」も「草〈grass〉」や「育つ〈grow〉」と同じ語源といわれ、新鮮さや瑞々しさを喚起する色で、植物の新芽との結びつきが考えられます。
緑が色名として登場するのは平安時代末期から鎌倉時代。
万葉集に「春は萌え夏は緑に紅の まだらに見ゆる秋の山かも」という歌が収録されています。
漢字の「緑」の旧字体は糸へんに「彔」。
竹や木の表面の皮を剥ぎとり、その皮が散らばった様子を示しているといわれています。
若竹のような色に染まった糸を「緑」と表すようになったとか。
ちなみに、緑以外にも紅・紺・紫・緋など色を表す漢字に糸へんが使われているのは、織物や衣服と色との関連性が強いからだそうです。
カラーマーケティングにおける「緑」
緑色は色名だけでなく、自然そのものを表す色であり、「緑化」という表現のとおりに、緑によって環境改善を図る施策が重要視されています。
「都市緑化」では主に景観的な緑化が対象となっていましたが、近年は、防災やヒートアイランド現象の緩和などを考慮した、防風緑化や建築緑化が促進されています。
カラーマーケティングにおける緑色は、安心感や爽快感を想起させ、若々しく新鮮な印象を与えてくれます。
また、樹木や広い草原などの自然の色でもあり、気持ちを落ち着かせて癒してくれる心理的効果も緑ならでは。
天然成分由来の商品や、ナチュラルさを謳いたい商品のパッケージやブランドカラーに緑は最適。
非常口マークを始めとする防災サインの色や、コミュニケーションツールとして今や欠かせない「LINE」のアイコン色など、緑色は生活のさまざまな場面で頼もしい存在であることも付け加えておきましょう。
いかがでしたでしょうか?
「みどりの日」という祝日の名称にもなった色の「緑」。
その歴史を調べてみると、若く瑞々しさを表す意味から、安心感を想起させる印象まで、さまざまな側面を持った色だということが見えてきました。
当社は印刷会社なので、色を取り扱う職業。
色が持つ背景や由来は、大切にしていきたいと感じました。
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