昨年12月に「カジノを含む統合型リゾート(IR)推進法案」の法案が成立しました。
「IR」は「統合型リゾート(Integrated Resort)」で、カジノの併設を認めるエリアを指定し、国際会議場・展示施設などのMICE(Meeting・Incentive・Conference or Convention・Exhibition or Event)施設、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などが一体になった複合観光集客施設のこと。
日本の魅力を世界に発信することを目的とし、観光産業を活性化する起爆剤とするIRを解禁しようとする法案ですが、詳細を決める実施法は今年中に成立の予定とか。しかし、そこからがまだ長くて、IRを開業する3都市を選出し、大規模な建設も含めてまだまだ先になりそうですが、候補都市では計画は着々と進んでいるようです。
IR誘致に積極的な横浜市
全国で20箇所がIR候補地として名乗りを上げていますが、中でも横浜市は積極的に誘致を推進しています。横浜では、20年以上も前から「名だたる国際港でカジノがないのは日本くらいではないか」という論議が交わされ、ずっと「カジノ構想」が語られてきました。
横浜市としては、2014年8月に策定した「中期4か年計画」の「横浜市都心臨海部再生マスタープラン」において、「世界に誇るハーバーリゾート」を計画。山下公園に隣接し、3方向を水辺に囲まれた山下埠頭を候補地として、広大な47ヘクタールの滞在型リゾート施設を計画しています。
IR施設は、経済効果の面からみれば、確かに魅力できですが、一方でギャンブル依存や非社会的組織の関与などのデメリットも叫ばれ続けています。そのこともふまえて、これからの展開に注目していきたいと思います。
横浜の歴史からみたIR
1859(安政6)年に開港した横浜には、他に先駆けて率先して取り入れた「横浜ことはじめ」がたくさんあります。乗合馬車、鉄道、電信、ガス灯、洋風建築、新聞、クリーニング、アイスクリーム、ビール、写真、近代水道など挙げたらきりがありませんが、近代競馬もそのうちの一つ。幕末、1861(文久元)年に、現在の中区相生町5~6丁目あたりで、居留地の外国人たちの娯楽として始まったのが競馬でした。国際ボートレースも、ホテルも、レストランも、外国人のために始まりました。つまり幕末のIRが横浜で始まったということになります。
競馬はその後、1867(慶応3)年に、日本初の洋式競馬場「根岸競馬場」が建設され、定期レースが開催されるようになりました。初めはもちろん外国人たちだけのギャンブルに、日本人もこっそり加わり始め、明治中頃には日本人も公認になり、大過熱したと言われています。