黄金比、白銀比、青銅比をご存じですか?覚えておきたいデザインの縦横比

クリエイティブ / デザイン

貴金属比の図

今回は、デザインの基礎知識として覚えておきたいバランスの良い縦横比、「黄金比」「白銀比」「青銅比」について解説します。

黄金比とは

黄金比の図

「黄金比」とは、縦:横の比率がおよそ1:1.618(約5:8)のことをいいます。
自然界の多くに存在する調和の比で、人間にとっても安定した最も美しい比率であるといわれています。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」にも黄金比が隠されているといわれ、パルテノン神殿や凱旋門、ミロのヴィーナス、モナ・リザなど、古代から建物や彫刻、絵画などに頻繁に使われてきました。

私たち印刷業界でいうと、名刺の大きさが黄金比に近い比率で作られています。
名刺の一般的なサイズである55×91mmは、1:1.65ほどになり、黄金比に近くなっています。

日本の名刺サイズはもともと尺の単位が使われていました。尺の10分の1が寸で、1寸が30.3mmのため、長辺は3寸で91mm、短辺は黄金比の√5-1/2 : 1となる55mmのものが使われるようになったといわれています。
名刺の大きさはちゃんと黄金比を意識して作られたものだったのです。

白銀比とは

一方、「白銀比」は、縦横の比率が1:√2=1:1.414で(約5:7)のことをいいます。
日本では古くから大工の間で神の比率とされ、法隆寺の五重塔や伊勢神宮などの建築物の中に多く取り入れられていて「大和比」とも呼ばれています。

古くからある白銀比

大工道具のL字形の「曲尺かねじゃく」は今も裏面に「白銀比」が目盛として残っています。
この比率はキティちゃんの体型をはじめ、愛されるキャラクターに多く、私たちに馴染みのあるA列、B列の紙の比率でもあります。

江戸時代後期に活躍した洒落本作家の大田 南畝(おおた なんぼ) は、自著「半日閑話(はんにちかんわ) 」の中で、「書籍の寸法は横曲尺六寸ならば、縦は曲尺の裏尺(裏側に刻まれた目盛)にて六寸にすべし。…縦横ある箱なども裏表の尺にて同寸にすれば格好よろし」と述べ、同時期に刊行された「古今要覧稿(ここんようらんこう)」にも「紙の横はたて斜弦しゃげん(正方形の対角線)」という記述があり、直角二等辺三角形の斜辺で、短辺の1に対して長辺が√2の「白銀比」を日本の紙の規格に挙げています。

しかもその大きな特徴は、もとの紙の大きさの2分の1、4分の1…となっても、常に縦と横の比率は同じになることです。

現代の用紙サイズと白銀比

1929(昭和4)年、日本が用紙のサイズを決める際、諸外国の例を調査したうえで、この比率と合致したドイツ方式のA列と、江戸時代の公用紙「美濃判」をもとに定めたB列を採用し、「白銀比」の2列を日本の紙の標準規格と決めました。

白銀比とA判の用紙の図

青銅比とは

そして残る「青銅比」は、1:3.303とかなり横長の比率になっています。

青銅比の図

ただ、先ほどの黄金比や白銀比と比べても詳細な歴史は出てこず、知名度も低いです。
私たち日本人からすると、青銅比よりも1:1の「正方形」の方が身近かもしれません。

 


今回はデザインをする上で重要な「黄金比」「白銀比」「青銅比」についてご紹介しました。
レイアウトやデザインで迷った時、これらの比率を意識してみるといいかもしれませんね。

 

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