昭和も終わりに近い頃、ひっそりと発売されたレコードのB面に、これぞ隠れた名曲といえる曲がありました。
昭和歌謡界の巨星・阿久悠、フォーク界のスーパースター・吉田拓郎という意外なコンビで作られ、小林旭が歌った「ハーモニカの詩」という曲です。
軽快さのなかに哀愁を感じるメロディにフィットした子ども目線の詞には、鉄棒、オルガン、ハーモニカ、校庭、ブランコ、砂場、七つの子、赤とんぼなど、懐かしく愛着を感じるものがちりばめられています。
そのなかに「ガラス窓光らせて 陽が沈む 黒板の白い文字 赤く色づく」という聴き手の心に響くフレーズがありました。
子どもの頃や学生時代の思い出のシーンに欠かせないのが黒板ですが、政府が推進する電子黒板の普及率もそれほど高くなく、教育現場ではまだまだ現役です。
黒板の歴史
黒板の原点は学校制度以前の寺子屋などで使われていた「塗板」と呼ばれるもの。
1872(明治5)年にアメリカから「Black board」として持ち込まれ、「黒板」と翻訳され全国に広まりました。
黒板の名が残ったまま、色が黒から緑色になったのは戦後のベビーブームの頃。
1クラスの生徒数が多い教室で窓からの光が反射し、字が読みにくいという問題点が出てきました。
そこで光の反射を抑えられ、目にやさしい緑色の黒板が普及しました。
黒板アートとは?
そんな黒板をキャンパスに見立てて絵を描く「黒板アート」に今注目が集まっています。
黒板アートは大きく分けて2つ。
発祥がイギリスのハブ看板といわれる「チョークアート」がその1つ。
立体的なモチーフをカラフルに描き、デザインで目を惹かせるアートです。
イギリスから移民としてオーストラリアに渡った看板職人が看板やメニューボードなどに描くようになり、アートの1分野になりました。
オーストラリアにチョークアートの専門学校もあり、そこで学んだ日本人が技術を持ち帰り、日本でも広まり始めました。
画材は色の重ね塗りや描き終えた後の定着が可能な油性のオイルパステルが使用されます。
最近は白のチョークを使ってレタリングや装飾、イラストなどでシンプルに仕上げる「大人黒板」と呼ばれるチョークアートも人気です。
今年も開催!黒板アート甲子園
もう1つは学校の黒板など大きな黒板にアートを施すもの。
もともとはみんなで描く落書きの延長でした。
卒業生や先生が黒板に絵やメッセージを描いて気持ちを伝えるようなシチュエーションは以前から存在していましたが、それが進化したのが「黒板アート」です。
10年足らずの間に作品の質は進化し続け、SNSで広がるなど大きな話題になっています。
2015(平成27)年には、黒板メーカー主催で高校生を対象にした「黒板アート甲子園」が始まりました。
そのおかげで認知度も高まり、CMやミュージックビデオなどにも使われるようになりました。
一番の特徴は、画材にスクールチョークを使うため黒板消しで消えてしまうということ。
完成した絵のでき映えに感動を共有しても、やがて消えるという儚さも魅力の1つです。
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