オフィス用品の通販を行う会社のテレビCMで、イメージキャラクターとダジャレが特徴的なシリーズをご存じの方も多いと思います。
印象に残っているのが、「カラーマーカーがない、頼んどいて」、「まーかーせなさい」というやりとり。
カラーマーカーは、色のついた筆記用具のマーカーですが、そもそも「マーカー」という名称が総称なのか商品名なのかといった認識も曖昧なまま、マーカーについての概要や歴史を探ってみました。
マーカーの歴史
「マーカー(Marker)」のおおもとの総称は、「フェルトペン(Felt Pen)」です。フェルトは、ヒツジやラクダなどの動物の毛を圧縮してシート状にした繊維。そのフェルトを切り取って先が細くなった金属の筒にはめ込んで、毛管現象でインクを染み込ませて用いたのがイギリスの貴族。それが民衆に伝わり19世紀後半に広く使われるようになったとされています。
時期は不明ですが、フェルトのほかに合成繊維や合成樹脂も使用されるようになり、「マーキングペン」「マーカーペン」の名称でも呼ばれるようになっています。
「マーカー」という名称が生まれたとされるのは1952(昭和27)年。アメリカのスピードライ社(後にマジックマーカー社)から発売された「マジックマーカー」です。
その後、商品名は「スピードライマーカー(Speedry Marker)」に改称。1969(昭和44)年に、画材専門店のいづみや(現Too)がマジックマーカー社との合弁会社を設立し日本での生産がスタート。豊富な色数があり、デザイン画を描くのに適していたため、グラフィックをはじめインテリア、工業などデザイナーの必需品になりました。
しかし、その後PCの普及とともにデザインの需要は減り、現在は「コピック」の名称で主にマンガやイラストの描画用に使われています。
日本のフェルトペンの歴史は、1953(昭和28)年、寺西化学工業が発売した油性の「マジックインキ」が起源。1963(昭和38)年には水性の「ぺんてるサインペン」が発売され「サインペン」が一般的な名称になります。1960年代後半にはホワイトボードが使用されるようになり、「ホワイトボードマーカー」が誕生。
その後は毛筆風の文字を書くための「筆ペン」、蛍光インクを使った「蛍光ペン」、極細の「ミリペン」などが続々と登場しました。主に印刷された文字などにラインを引くマーキングに使用される蛍光ペンやラインマーカーなどが日本で初めて登場したのは、1974(昭和49)年に発売されたトンボ鉛筆の「暗記ペン蛍光」。その後はさまざまなライン用のマーカーが使われるようになりました。
ちなみに、誰もが経験するキャップの閉め忘れによるインクの乾き問題。現在はそれを解消するキャップなしのノック式マーカーも登場しています。