先日、私が暮らす地域の防災訓練に参加することになった。
大きな災害に備えて、家庭内での備えをはじめとした「自助」に加えて、近所の助け合いなど「共助」が必要なため、日頃から定期的な訓練は欠かすことができない。
とくに拙宅は横浜市神奈川区の住宅密集地にあるため、震災直後に火災が多発する危険がある地域だ。
防災訓練は工場地帯と国道15号線の間にある運河沿いにある大手企業の駐車場が会場だった。隣接するこの企業の体育館は地域の避難所として提供してもらうようになっている。
運河の水でバケツリレー
消防署の方や消防団の方、自治会の方たちの話を伺った後、バケツリレーによる初期消火の訓練を行った。
運河の水をポンプで汲み上げ、子どもたちも交えて行ったバケツリレーは、人数が多かったため2列リレーという方法。送水側、返送側が2列に並び、それぞれが安全確認をしながらバケツをリレーする。最初は水をかけ忘れたのか、バケツに水が入ったまま、返送されるというミスも。水の量は、あまり欲張らず少な目がほうがいいことを認識した。ちなみにバケツリレーには人数の少ない際の1列リレーや、交差に向かい合う千鳥リレーがある。
運河の水質が改善されていた
今回の防災訓練で訓練よりも興味を惹かれたのが汲み上げた運河の水。
先入観として運河の水は汚いというイメージがあったが、意外と水がきれいなのにびっくり。ハゼをはじめとする魚や貝も以前より多く生息している様子だ。水質改善が進んだ運河にやってくる鳥の種類も増え、カモメ、鴨、ゴイサギなどに交じって清流の宝石と称される、カワセミを見ることもあるという話に驚かされた。
親しみやすい海辺づくりを目指す横浜市の取組み
当日配布されていたチラシをもとに調べてみたら、「横浜の海をもっと魅力的に」といった目標を掲げ、横浜市は市内の臨海部をモデルとして温暖化ガスの削減と経済活性化を進める「横浜グリーンバレー構想」を推進している。
その取組みの一環として進めているのが「横浜ブルーカーボン事業」。
ブルーカーボンとは海洋に生息する生き物によって吸収・捕捉される炭素のこと。森の緑と同様にわかめなど海の生き物もCO2の吸収や削減に貢献しているそうだ。
横浜ブルーカーボン事業の取り組み
「横浜ブルーカーボン」では、このブルーカーボンに加え、海洋におけるエネルギーなどの利活用を「ブルーリソース」と名付け、これらを一体として温暖化対策に取り組み、さらに、海辺環境の魅力を向上させることで「親しみやすい海づくり」をめざしている。
市内の企業や団体、大学などと連携しながら、わかめやアマモの植え付けを随時行っているそうだ。アマモは魚介類が産卵し、仔雑魚が育つので「海のゆりかご」とも呼ばれている。
そういえば、以前東京湾再生官民連携プロジェクトの「東京湾大感謝祭」という催しが、横浜赤レンガ倉庫にて開催された際、当社の「紙エコペーパークラフト」をワークショップツールとして提供させていただいたことを思い出した。
今回は、町内の防災訓練に参加して、海洋資源を活用した温暖化対策プロジェクトを知り、東京湾再生活動の大切さを認識。有意義なひとときを過ごすことができた。近くに住んでいてもあまり訪れる機会がない工場地帯の運河、ときどき散歩コースに加えたいと思った。