野毛印刷の仕事人ファイル No.05 ~ プリントセンター 鈴木 隆 ~

インタビュー / 野毛印刷の人々

野毛印刷の仕事人ファイル
No.05 鈴木隆の「仕事の流儀」

*プロフィール*
鈴木隆
プリントセンター
1987年入社 51歳(取材当時)

プリントセンターの長として

鈴木が所属しているのは、小ロット・短納期印刷を得意とするオンデマンド印刷を担当するプリントセンター。印刷だけではなく、製本・加工・包装・出荷までをこなす部署だ。
鈴木はプリントセンターに配属されて14年。この部署の長として、4人の部下をまとめている。

プロとしてのプライド

プリントセンターのオンデマンド印刷機の機構は「大型のカラーコピー機」と言えばわかりやすい。しかし機構こそコピー機と同じだが、当然ながら誰でも簡単に扱えるものではない。たとえば飲食店のメニューの印刷は、いかに美味しそうな色を再現できるか。プロとして今まで学んだことや経験がモノをいう世界だ。
そのプライドは部下にもある。
「あんまりそういうこと言うなよ、って注意するんですけど、ある部下はお店で『これを印刷したのウチの会社です』って店員さんに言っちゃうらしいんです(笑)。」

プリントセンターは“板場”

「この仕事って、料理店の板場みたいな仕事だと思うんですよ。」
鈴木は、プリントセンターの仕事をこう例えた。理想の料理を作るために質のいい食材を手配し、切り、焼き、あるいは炒め、味付けをして盛り付けをする。それと同じことがプリントセンターで行われている。プリントセンターの社員はみな、試行錯誤を重ねて質のいい印刷物を提供できるよう、日々研究を行っているという。
「この機械は扱いづらいな、という部分があると、仕方ないからとそのまま業務をするのではなく、自分で改善策を考えます。ここにフラップがあったほうがいいと思えば、そこにフラップをつける。それをメーカーの保守担当者さんが見て新製品の参考にしてくださっています。」

チームワークで乗り越えた難しい案件

鈴木には深く印象に残っている仕事があるという。
10年ほど前、あるお客さまからダイレクトメールの宛名印刷の依頼があった。オンデマンド印刷としては異例の大量印刷とスピードを求められた。他の案件も同時進行で動いていて、通常の対応では到底実現できそうにない。
「どう計算したって間に合わないんですよ。もう不可能としか言えない。」
社としての対応が企画開発室(当時)で検討された結果、急きょ夜勤体制を組むことになった。その夜勤対応に選ばれたのが鈴木だった。
他の社員は日勤で通常業務を担当。夕方に鈴木が出社しダイレクトメールの印刷を行う。
「当時私は、プリンターは扱えるけど断裁などは未熟だったので、私が日勤に残るよりは夜勤になったほうがいいだろうと。」
実施にあたっては印刷機メーカーの保守担当者のサポートもあった。通常であれば数時間稼働の印刷機を、2週間にわたり24時間動かし続けるからだ。
メーカーは長時間稼働に備えて慎重にメンテナンスを行い、また制作部門は毎日、予定時間から遅れることなくプリントセンターに印刷用データを送った。
「最初は、どうやったらこの案件をクリアできるか不安だったんですけど、ほっとしました。」
2週間の24時間稼働は、成功に終わった。懸念された印刷機のトラブルもゼロだった。
「企画開発室の判断、メーカーさんの協力、制作部門とのスケジュール調整、すべて上手に連携が取れていましたね。」
他部門とのチームワークで成し遂げた成果だ。

チームとともに紙の魅力をカタチにする

ペーパーレス化という言葉が叫ばれて久しい。しかし紙には、紙にしかない魅力が絶対にある。そう信じる鈴木は今、POPUPと呼ばれる「とびだす絵本」のようなトリックを仕込んだ印刷物のプロジェクトに加わっている。POPUPの種類は名刺やダイレクトメール、飲食店メニューなど多岐にわたる。
「四角い紙にただ印刷するだけならデータでも代用できてしまう。紙だからこそできる表現っていうのを突き詰めていきたいですね。」
印刷のプロとして、紙の魅力を従来の常識にとらわれない発想でカタチに変えていく。

それが鈴木の、仕事の流儀だ。

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