唐突ですが、「天袋・地袋」をご存知ですか、という質問に住宅をイメージする人と、印刷をイメージする人が、どのくらいの割合でいるのか、気になったので、今回は「天袋・地袋」という印刷用語も含めてページものの印刷をする際に必要な作業の基礎知識について取り上げます。
住宅の『天袋・地袋』、印刷の『天袋・地袋』
住宅用語で使われている「天袋」は、天井に接する高さで造り付けられた袋戸棚のこと、「地袋」は、出窓の下や飾り棚の下に設けられた収納スペースをいいますが、印刷用語の「天袋」と「地袋」はページものの印刷物を作る際に使われる言葉です。「天袋」はどちらも「てんぶくろ」ですが、「地袋」は住宅用語では「じぶくろ」に対して、印刷用語では「ちぶくろ」といいます。
通常、製本するものは、1枚の大きな紙に4ページ、8ページ、16 ページ、32 ページなどの単位で両面印刷し、それを折ってページ順に並ぶようにして、製本します。この、紙1枚分の単位を「折り」といい、製本するために折り畳まれたものを「折り丁」といいます。
製本に重要な面付け
印刷し終わった紙を製本するために折った時に、きちんとページ順に並ぶようにしなければなりませんが、それを想定し
てページを配置することを「面付け」といいます。ご存知のように日本の冊子や本などには文字を縦に組んだものと横に組
んだものがあり、綴じる位置が左右逆になるため、横組みの場合は、折丁の袋の部分が上の方向になるように折ります。これを「天袋」といい、冊子は左綴じで左開きになります。一方縦組みの場合は、袋の部分が下の方向になるように折るため「地袋」といい、右綴じで右開きになります。
右下の面付け図は、16 ページ折り、左綴じ天袋の折り丁を開いたものです。水色の部分をドブといいます。ドブとは、断裁の時に裁ち落とす、袋になっている部分のことです。ドブの幅はページ数や綴じ方によって変わります。