自社従業員の操縦でドローン撮影! その前に知るべきポイント

クリエイティブ / 動画

会社案内などの動画制作時、ドローンを使って本社や工場を上空から撮影したい、と思ったことはありませんか?
「ラジコン感覚で簡単に飛ばせそうだから、会社の駐車場から従業員にちょこっと飛ばさせて撮影してみよう!」
確かに今、誰でも簡単に扱えそうなドローンが数多く流通しています。しかし、ドローンで動画を撮影する方法を調べてみると、そこには注意しなければいけないことがたくさんありました。

データから見るドローンの事故

注意すべきことのひとつは、安全性です。
昨年度の一年間、国土交通省に報告のあったドローンに関わる事故トラブルは62件。墜落や紛失が多くを占め、物的・人的損傷を伴う事故も散見されます。中には、空港の上空をドローンが飛行していて着陸直前の旅客機が危険回避のために着陸をやり直したというケースも。
横浜市のドローンスクール「Dアカデミー関東本部」の講師は、ヒラメキ工房の取材に対し、
「国交省発表の件数はあくまで氷山の一角に過ぎず、軽微な事故を含めたら年間数百件は発生しているのでは?」
と話します。

法的に飛ばせる場所・飛ばせない場所

安全性を確保するという意味で、法による規制があります。
2015年に改正された航空法では、200g未満のドローンは「模型航空機」、200g以上のものは「無人航空機」と分類されます。私が家で使っている普通のお茶碗が200gでした。そう考えると200gって意外と軽いですよね。
この「無人航空機」は、屋内で飛行させる場合を除き航空法などでさまざまな規制がされています。その一例を見てみましょう。
・空港等の周辺の上空
・高度150m以上
・人口集中地区の上空
これらに一つでも該当する空域では、自宅の庭や自社の敷地内も含め、航空局の許可なしにドローンを飛ばすことはできません。
国土地理院のサイトで、東京23区・横浜市周辺で人口集中地区ではない場所を調べてみると…

(国土地理院「地理院地図(電子国土Web)」より)

真っ赤!
この赤いエリアではすべて人口集中地区。東京23区内や横浜市内の空域では、許可なく飛ばせる場所はほとんどないといってもいいでしょう。
人口集中地区について気になるかたは、以下のリンクから確認してみてください。
国土地理院「地理院地図(電子国土Web)」

「申請すればOK」ではない

こうした人口集中地区などでも、申請し審査を経て許可・承認を受ければ飛行させることができます。しかし、「危険なので禁止」と決められていることを申請するのですから、当然ながら当局から厳しい条件を求められます。申請すれば誰でも審査が通るものではありません。

誰でも飛ばせて誰でも上手に撮れる?

法的な問題をクリアできたら、その次に待っているのは撮影のクオリティの問題。
ドローンで撮影された動画はYoutubeなどでも公開されていますが、そのクオリティはさまざまです。
当社にも、200g未満のドローン(模型航空機)を持っている社員がいます。その社員に話を聞くと、屋内で数回飛ばしてみたものの、操作の難しさを実感しているとのこと。ドローンを離陸させることはできたとしても、条件の悪い屋外で機体やカメラを思い通りに操ることは相当難しいようです。

では、ドローン撮影のプロはクオリティの高い映像をどのように撮影しているのでしょうか?
いくつかのドローン撮影会社によると、十分な経験を持つスタッフによって比較的大型のドローンを使用して撮影を行っており、場合によっては機体操縦とカメラ操作の2名体制の撮影もあるようです。マシンさえ持っていれば誰でもOK、というほど甘くないのは、どの業界でも同じですね。

ドローンがもたらす未来

千葉市のドローン特区では、amazon、佐川急便などの民間企業も参加し、物流やセキュリティ分野でのドローン導入準備が進んでいます。
実現すればドローンを活用した輝かしい未来が訪れることになります。
一方でDアカデミー関東本部の講師がスクールの受講生に必ず教えることは、「臆病なくらい慎重に」「空を飛ぶものは必ず落ちる」。
もしも墜落すれば人命に関わるほどの大事故になることもあり、また事故によって企業の評判やブランドイメージへの影響も無視できません。
多くの可能性を秘めたドローンですが、ビジネスでの使用は経験豊富で保険などの体制も整った専門会社にお任せするか、自社で安全に運用するなら時間とコストをかけてしっかり学ぶ必要がありますね。

当社は動画制作業務を行っていますが、ドローンを使用しての撮影は経験豊富な空撮会社に委託をします。
取材協力:Dアカデミー関東本部(http://d-academy.co.jp)
DアカデミーはJUIDA(日本UAS産業振興協議会)の認定を受け、全国各地に展開するドローンスクールです。関東本部は横浜市瀬谷区にあり、実技は千葉県君津市のフライトエリアでの練習のほか、フライトシュミレーターによる訓練も行っています。

※この記事は平成30年8月の情報をもとにしています。記載した法律は一部のみです。飛行にあたっては必ず各種法律や条例などをご自身でご確認ください。

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