当社のポケット判「大地震対応マニュアル」は震災後、全国の企業や学校などから注文が殺到し、出荷数60万部を超える商品です。
「だい地震」と読むか「おお地震」と読むか
そこで、発生したのが“大地震”の読み方についての論議。当社では結果的に「だい地震」と読むことにしましたが、NHKでは放送用語で「おお地震」を標準としています。その根拠としては、「おお地震」の方が以前からの慣用的な読み方だったからというもの。どちらも間違いではなく、読み方は両派にわかれるようです。
日本地震学会でもNHKに習い「おお地震」だそうですが、地震の規模に対する階級を示す際には、マグニチュード7以上の地震を「大地震」と表現するようで、このあたりも非常にややこしくなっています。
「だい」「おお」読み方のルールはあるの?
接頭語「大」のつく言葉の読み方は「だい」か「おお」か、一般的な決まりがあります。原則として、「大」のあとに漢語(音読み)がくると「だい」、和語(訓読み)がくると「おお」と読みます。「だい」は、大規模・大草原・大接戦・大洪水など、「おお」は、大食い・大酒飲み・大入袋など。
ところが例外もいろいろあるようで、典型的なのが「大舞台」。「舞台」は漢語だから「だい」となるはずですが、NHKでは、スポーツの国際大会など「世界の大舞台」という時は「だい」、古典芸能の放送の際は「おお」。「地震」や「舞台」と同様に「大火事」「大所帯」「大騒動」なども、「大」が付く語に漢語の意識が薄いために「おお」と読むそうです。
国語辞典の扱いはどうかというと、こちらもマチマチで、「だいじしん」の見出しに「大地震」の漢字をあて、「マグニチュード7以上の地震。気象庁では、単に大きいことを言う時には『おおじしん』と言う」としています。「おおじしん」の見出しの項には、大きな地震の意の日常語とあり、「だいじしん」の項を見よ、となっています。また、文化庁編『言葉に関する問答集 総集編』では、「大」を「だい」と読むか「おお」と読むかについては特に規則性がなく、多分に慣習的であるというような見解を示しています。ちなみに、 10年以上も前の調査ですが「大地震」の読み方について「だい地震」と答えた人が8割近くいたそうです。
2011年の「東日本大震災」の経験を経て、言葉の響きに感じるインパクトを考えると「だい地震」派がさらに増えているような気がしますが、いかがでしょうか。